日本の会社は「ぶら下がり社員」が7割!「給料もらうだけ人間」を生む諸悪の根源とは?
バブル崩壊から30年以上、衰退の一途をたどる日本経済。その最大の要因は、どこにあるのか?45年間にわたりウォルト・ディズニー・ジャパン、日本マクドナルドなどトップ外資系企業を渡り歩いた著者が解説する。※本稿は、中澤一雄『ディズニーとマクドナルドに学んだ最強のマネジメント』(宝島社)の一部を抜粋・編集したものです。 【この記事の画像を見る】 ● 日本経済を衰退させた原因は 企業の生産性の低さにある 日本経済をこれほど衰退させた最大の要因は何なのでしょうか。 日本のビジネスパーソン各自の能力が、外国のビジネスパーソンに比べて劣っているとは私は思いません。 ここに日本企業の生産性が、アメリカ企業の生産性と比べてどれだけ低いかを示す図があります。 日本生産性本部の資料をもとに作成したグラフなのですが、アメリカ企業の各分野の生産性を100とした場合の日本企業の各分野の生産性を表しています。 ご覧いただければわかるように、日本企業がアメリカ企業よりも高い生産性を誇っているのは「化学」の分野のみです。それ以外の分野は、軒並みアメリカ企業よりも生産性が低くなっており、ほとんどの分野で約半分しかありません。 生産性が低いということは、より多くの人員と時間を使わなければ利益を上げることができないということです。生産性が上がらなければ、経済が衰退していくのは当然でしょう。 この恐るべきデータを見たことがない日本人のほうが多いと思います。確かに、日本人は他の国に比べて「勤勉」で「実直」ではあるかもしれません。しかし、だからといって、このグローバル化・デジタル化した時代に適応できるかどうかとなると、話は別です。 勤勉であろうが、実直であろうが、人々の生産性が低ければ、国際競争力など上がるはずがありません。
● 「やる気」がある社員はわずか5%? 「ぶら下がり社員」が7割という現実 また、日本のビジネスパーソンは、生産性が低いだけでなく、エンゲージメントも低いという現実があります。むしろ、エンゲージメントが低いから、生産性も低くなるのです。エンゲージメントとは、従業員の会社や仕事への「愛着」や「思い入れ」、あるいは「やる気」を表す言葉です。 人材コンサルティング会社であるリンクアンドモチベーションの研究機関・モチベーションエンジニアリングと慶応義塾大学が2018年9月に発表した共同研究によれば、従業員に対する調査から算出された「エンゲージメントスコア(ES)」が1ポイント上昇すると、当期の営業利益率は0.35%上昇するというのです。また、同社の別の調査では、ESが高いほど、ROE(自己資本利益率)やPBR(株価総資産倍率)が高くなる傾向があったとのことです。 日本の従業員のエンゲージメントは、世界125カ国で最低です。エンゲージしている社員はわずか5%に過ぎず、72%がいわゆる「ぶら下がり社員」なのです。ぶら下がり社員とは、仕事に意欲的に取り組まず、かといって離職する意思もない社員のことです。低いモチベーションのまま、ただ給料をもらうためだけにそこにいるわけです。そんなぶら下がり社員が72%もいるというのです。