日本の会社は「ぶら下がり社員」が7割!「給料もらうだけ人間」を生む諸悪の根源とは?
一方、アメリカの企業では、2022年の時点でエンゲージしている社員は34%もいます。つまり、彼らはやる気があり、出世する意欲があり、その会社に貢献する意思を持っているということです。日本にはたったの5%しかいない人材が、アメリカにはその7倍ほどもいるというのですから、日米の生産性に雲泥の差が付くのは当然のことです。 それにしても、なぜ、日本人のエンゲージメントと生産性は他国と比べてこれほどまでに低いのでしょうか。 従業員各自の資質の問題でしょうか。私はそうは思いません。 日本人のエンゲージメントと生産性が低い理由は、「新卒一括採用」「年功序列」「終身雇用」「春・秋の定期人事異動」などの日本企業独特の慣習にあると思っています。 ● 世界で唯一の新卒一括採用が エンゲージメントを落としている おそらく、いま読んでおられる方の中には、これらの日本企業独特の慣習は、日本人の良心であるとか、日本が繁栄してきた礎であるとか、日本精神の表れなのだと思っている方もいらっしゃるかもしれません。 しかし、敢えて言わせていただきますが、日本よりも生産性の高いアメリカその他の国々では、このような慣習は採用されていません。これらの慣習は完全に現在のグローバルスタンダードからはズレてしまっています。
先ほどのエンゲージメントの話に戻しますと、日本企業のわずか5%の従業員しかエンゲージしていない理由は明らかで、日本企業の人事制度が機能不全に陥っているからです。 テレビで東京・新橋を歩いている会社員たちにインタビューしているのを見たことがあるのですが、エンゲージできていない理由について、彼らは「仕事をやってもやらなくても給料もボーナスも変わらないから」と答えていました。 私には、日本企業の従業員のエンゲージメントと生産性が低い理由がこの一言に凝縮されているように思います。 日本では、世界で唯一「新卒一括採用」が行われています。この新卒採用の弊害はいくつかあるのですが、まず1つ目は「効率が悪い」ということです。 アメリカでは、インターン制度というものがあり、大学生は大学2年から3カ月ある長い夏休みを利用し、就職を希望する会社でインターンとして働きはじめ、そこで実質的な「研修」を済ませてしまいます。 その会社での仕事をだいたい覚え、社内の人々ともコミュニケーションが十分に取れている状態で大学を卒業して晴れて入社するわけです。ですから、アメリカの大卒新入社員はほとんどが研修期間を経る必要がない「即戦力」なのです。