日本の会社は「ぶら下がり社員」が7割!「給料もらうだけ人間」を生む諸悪の根源とは?
すると、全員が即答できないのです。ただし、「前期の3月末の締めの時は250名いました」とか「今年の採用予算は10名です」ということだけは答えることができます。でも、今の時点での正社員数を正確に答えられる社長さんは皆無でした。 ● 成果を上げても評価されない 世界とズレている日本の企業慣習 これは外資系企業では考えられないことです。なぜなら、人材(ヒューマンリソース)こそが企業にとって最大のコストだからです。そのコストを削減しなければ、業績の伸びが鈍化するのは当たり前ではないでしょうか。 にもかかわらず、日本企業の多くは、昔からの習慣で新卒社員を一括で採用しています。アメリカとは違って、労働者を簡単には解雇できませんから、なかなか辞めさせることができない人員を、ものすごく簡単にごっそりと入社させてしまっているわけです。 これで余剰人員が出ないわけがありません。余剰人員が多くなれば、当然効率は悪くなりますし、社員のエンゲージメントも低くなってしまうでしょう。日本企業が守ってきた慣習こそが、やる気のない社員を必然的に生みだしているわけです。
さらに、日本の社員のエンゲージメントが低い理由は、他にもあります。経営陣と社員とのコミュニケーションが少ないということと、人事異動の希望があまり反映されないことも理由として挙げられています。 要するに、日本企業は、社員が能力や努力によって素晴らしい成果を上げたとしても、それを正当に評価するシステムを持っておらず、また、社員の希望を汲み上げるシステムもなく、役員と社員とのあいだの意思疎通も上手くいっていないということです。 私は、この根本原因が、先ほども申し上げたように「新卒一括採用」「年功序列」「終身雇用」「春・秋の定期人事異動」といった日本企業が頑なに守り続けてきた慣習にあると考えます。これらの慣習は、まったくもってグローバルスタンダードとは相容れない、今の国際競争力が問われる時代には通用しない慣習です。 この慣習を改めることをしなければ、いずれ優秀な人材、優秀な若者たちは、日本を捨てて海外に出ていくはずです。なぜなら、現在の日本企業では、海外企業のように良い成果を出したとしても給料が外資の半分、おまけに他の同僚などと同じ給料しかもらえないからです。
中澤一雄