税務署が教えたくない「相続税対策」、知らなきゃ絶対損するBEST3は?
● 2 「生前贈与」はいますぐに! 2つ目は、実行する人が増えてきた「生前贈与」だ。 生前贈与は、早く着手して続ければ続けるほど節税額が大きくなる。しかし留意すべき点もある。 「国税庁は贈与や相続など財産の譲渡について、生前より亡くなった時のほうが財産を捕捉しやすく、死亡時に課税することを原則としています。そのため相続税より贈与税の実質税率を高くして、生前贈与すれば損する仕組みになっているのです」(前述の税理士) 例えば、子供に500万円を贈与すれば48万5000円、1000万円を贈与すれば177万円年の贈与税がお金を受け取った子供に課される。 一方の相続税は、〈3000万円+相続人の数×600万円〉まで課税されない。 では、なぜ生前贈与がお得なのだろうか。 理由は、1人につき年110万円までは課税されない生前贈与の非課税枠にある。 例えば70歳の男性が、子供3人にそれぞれ年110万円を贈与する場合。贈与された財産の合計は、5年間続ければ1650万円、10年間続ければ3300万円となる。非課税枠内での贈与のため贈与税はかからず、その分だけ節税できるのだ。 「ただし、財産が多い場合や、年齢や健康等で贈与できる期間が短い時は、贈与税を払ってでも多くの額を贈与したほうがいい場合があります。財産の額、相続人の数、贈与可能期間を勘案するべきです」(前出のベテラン税理士) だが、落とし穴もある。それは、贈与を装ったケースだ。 例えば「子供に現金を渡せば使ってしまう」と親が心配して、親が管理する子供名義の口座に入金する場合。税務署の調査でこれが発覚した際は、贈与の実態はなかったものとして相続税の課税対象となる。 「贈与契約書を作成するとか、非課税枠の年110万円より多い、年120万円を贈与し、1万円を納税して証拠を残すとか、様々な指南があります。しかし、贈与の実態がなければ一時逃れに過ぎず、税務署は見逃してくれません」(前出のベテラン税理士) なお、生前贈与は2024年に制度が改正された。 これまでは、被相続人が亡くなると過去3年間の生前贈与が相続税の課税対象となった。しかし改正により、それが過去7年間まで遡れることになったのだ。そのため、より早く生前贈与に着手する必要が出てきた。 ただし、子供に財産を与え過ぎてしまった結果、親の面倒を見なくなるという怖い指摘もある。