「会議が盛り上がる会議室」と「テンションが下がる会議室」の明確な違い
そんな方々は、研修スタート時には、あからさまに「面倒くせえな」という表情で会場に来られます。 いや、こちらも人間ですからね。本音を言えば、朝イチのスタート時、熱気ムンムンのやる気溢れる方々をお迎えしたいですよ。 でもそんな時、失礼ながらやる気のない方々をどうするのか? それはもうプロとして、終了時には受講者のテンションを上げて「研修に参加してよかった」と思わせます。 そのためには色々な技を駆使しますが、一番初めに使う技は「アイスブレイク(氷解)」です。 「氷を壊す」という意味のように、硬い雰囲気をぶち壊す小話やワークで、雰囲気をリラックスさせます。 最も硬い雰囲気の場面は、色々な企業が選抜社員を派遣する集合研修です。先に申し上げた通り、自分で払わず、会社が多額の費用を払って参加してもらう研修であることに加え、まさに呉越同舟。初めて出会った、見知らぬ企業の方々が1つの会場に集合し、同じことを学ぶのです。 緊張もしていますし、背景と価値観が違うので、話に花が咲くわけがありません。 ● テンションを上げ続けないと 会議メンバーもついてこない この方々の氷解(アイスブレイク)が早まれば早まるほど、場が温まり、交流が促進され、学習理解が深まります。 アイスブレイクを仕掛ける私は、そのための小技を控えめに見積もって、幾百は持っています。 会場の温度、雰囲気、年代に合わせて最適な技を掛け合わせます。が、一番大事にしていることは、実はそんな技術ではありません。大事にしているのは、たった1つです。 それは、ファシリテーターである私が、心を折らさずテンションを上げ続けることです。 笑いを仕掛けて“スベる”ことも多々あります。 一向に温まらず、斜めの姿勢を決め込み続ける受講者にいら立ちながら、心が折れかけそうになる時もあります。 が、それでもテンションを上げ続ける。 そうするとですね、次第に全員に飛び火します。 定めたゴールをブラさず、そこに向かうメンバーを励まし続ける。そんな当たり前のファシリテーション・スキルの前に、実は、ファシリテーターとして自分を鼓舞し続け、燃やし続けることが必要なのです。 「心を折らさないって、プロだから当たり前でしょ?」 そうお思いのあなた、それは違います。 これはファシリテーターというより、リーダーそのものです。 先が見えないトンネルの中、リーダーを信じてついてくるメンバーたち。 彼らを鼓舞し続けるのは、先頭で牽引するリーダー以外いないのです。 ファシリテーションで盛り上がらない時は、思い出してください。 「己に火を点け、分厚い氷を壊せ!」と。 きっと、場が温まってきますから。
横田伊佐男