なぜ2位ロッテに51年ぶりの優勝マジック「9」が点灯したのか…過去30年でV例は一度だけも4つの快進撃理由
(3)先発の整備と勝利方程式の完成 「ゲームを作れる先発陣の頭数を年間を通じて揃えることができた。佐々木郎希がスポットでも先発できるようになったこともプラスだった。中継ぎでは7回が流動的だった時期もあったが、国吉、佐々木、益田をきっちりと整備したことが大きい」 2桁勝利に乗せた小島、8勝の岩下を軸に、二木、石川、美馬、鈴木、ロメロ、そして佐々木朗希らでローテーションを回してきたが、勝利方程式を確立したのがロッテの強さの理由。唐川、田中、ハーマン、国吉、佐々木千隼、益田と、ブルペン陣は厚く、佐々木千隼は、中継ぎながら8勝をマークし防御率は1.19の安定感がある。“守護神“の益田も防御率2.09で36セーブの数字を残している。 (4)楽天、ソフトバンクらライバルチームの不振 「他球団の主力の怪我やスランプが目立った。楽天は外国人野手が期待を裏切り、抑えの松井が怪我で離脱。ソフトバンクは、岩崎、モイネロ、森の勝利方程式を整備できなかったし、エースの千賀も故障でシーズンのほとんどにいなかった。グラシアルの怪我なども響いた。オリックスも吉田正の怪我やジョーンズの帰国、ディクソンの契約解除などもあったが、そこを若手の台頭などで埋めてきた。こういった他球団の状況もロッテに味方したのでしょう」 だが、マジック「9」が出たといってもまだ首位には立っていない。過去30年で、2位チームのマジック点灯は1986年、1988年の近鉄、1998年の西武、2010年の阪神、2014年のオリックスと5度あったが、そのまま優勝したケースは1998年の西武の一度しかない。やはり首位チームが有利なのだ。 今日15日からの2試合でロッテ連敗、オリックス連勝でマジックは消えるし、オリックスが残り7試合を5勝2敗とすれば、勝率.563で、ロッテが残り10試合を7勝3敗で乗り切らねば勝率で上回ることができない。もしロッテが、5勝5敗の勝率5割で終わると、オリックスは4勝3敗で逃げ切ることができる。 ただ残り試合の対戦カードを見るとロッテが若干有利だ。ロッテはソフトバンク4試合、日ハム4試合、楽天、西武が1試合ずつを残しているが、ソフトバンクとは9勝9敗3分けと五分の対戦成績だが、日ハムは11勝5敗5分けと今季カモにしている相手。一方のオリックスは楽天3試合、日ハム3試合、西武1試合で、楽天には、8勝9敗5分けとひとつ負け越しており、最下位の日ハムにも9勝10敗3分けの対戦成績で相性が良くない。ロッテにはマジックが出たという心理的な優位点もあり最後のラストスパートにつながる可能性もある。 里崎氏は、愛情をこめて、こんなメッセージを送る。 「ロッテファンの人には、今まで日本一になっても、2005年にリーグ優勝しても、それがCSからの下剋上だったり、プレイオフだったりして、“勝率1位ではない”などとも言われて窮屈な思いをさせてきた。勝率1位で優勝して長い間必死で応援してくれたファンの皆さんの重荷を下ろさせてあげられることが一番嬉しいこと」 今日15日は、ロッテはホームの千葉に帰ってソフトバンク戦。オリックスは、札幌に遠征しての日ハム戦となる。 佐々木朗希がチームを代表して控えめに言った。 「明日以降も点をとってくれると思います。明日も勝ってくれると思います」