なぜ2位ロッテに51年ぶりの優勝マジック「9」が点灯したのか…過去30年でV例は一度だけも4つの快進撃理由
ここまで12勝3敗とオリックスを引っ張ってきた宮城だが、さすがに初のフルシーズンの回転で蓄積した疲労が目立ち、リフレッシュ休養を兼ねて登録抹消された。この日が休養明け登板だったが、腕が下がり、今までならば、芯を外して打ちとっていたチェンジアップがウイニングショットにはならなかった。5失点KOはプロワーストだ。 中嶋監督は「しょうがない。重圧は誰でもかかる」と、2年目の左腕をかばった。 佐々木は“令和の名勝負”とも言える宮城との対決について、「個人としてもチームとしても負けられない試合。勝つことができてよかった」と秘めたライバル心をのぞかせた。 広報が用意した色紙に佐々木はマジックの「9」の文字を書き入れた。 ロッテのマジック点灯は1970年以来、51年ぶりである。榎本喜八氏、有藤通世氏、アルトマン氏、木樽正明氏、成田文男氏らが活躍した時代だ。 ロッテは2005年にリーグ優勝しているが、これはプレイオフを制したもの。2010年にも日本一となっているが、CSを勝ち抜いての下剋上Vだった。 なぜロッテにマジックが点灯したのか。 ロッテOBでもある評論家の里崎智也氏は、今季のロッテの快進撃をこう分析した。 「主に4つの理由が考えられます」 里崎氏がリストアップしたのは以下の4点だ。 (1)打線での外国人選手の連動 「マーティンが終盤に故障離脱したが、レアードとのコンビが年間を通じて機能した。他チームにない点で得点力アップにつながった」 この3連戦ですべて先制点を弾きだしたレアードは打率.269、26本塁打、87打点、マーティンも打率.240、26本塁打、72打点の数字を残している。 (2)怪我人や不調の選手が出たときの代替選手の活躍と、フロントのトレード、補強策の成功 「セットアッパーの唐川が首痛などで調子を落とし抹消されたときには佐々木千隼が出てきたし、先発陣で石川が故障、美馬が不調に陥ったときにはロメロを獲得して戦力になった。中継ぎのハーマン、小野が結果を出せなかったときには、横浜DeNAからトレードで獲得した国吉が、その役割を果たした。中日からトレードで獲得した加藤も捕手の強化につながった。フロントの協力体制も見逃せない点でしょう」 昨年もロッテはシーズン途中に沢村、チェンを獲得するなどメジャー方式の緊急V補強を行った。優勝には手が届かなかったが、今季も6月に元中日のロメロを獲得、横浜DeNAと国吉―有吉のトレード、中日と加藤―加藤の緊急トレードを成立させチームのウイークポイントを埋めた。新天地で生き返ったセットアッパーの国吉は、防御率1.64を誇る。 ロメロが家族の問題で10月初旬にドミニカに帰国したのは想定外のアクシデントとなったが、井口監督の采配とフロントのバックアップがシンクロして快進撃を支えている。