新パイロットラインを着工 ラピダス、チップレット技術に注力
半導体製造のラピダスは、北海道千歳市で準備中の半導体製造拠点に隣接したセイコーエプソン千歳事業所に試験的な生産設備、いわゆるパイロットラインを着工した。 【関連写真】セイコーエプソン千歳事業所 2ナノメートル世代の微細な製造プロセスを用いる先端半導体を対象に、複数のチップをひとつのパッケージに収める「チップレット」設計、製造に関する後工程技術を研究開発する。 3日の工事安全祈願祭に出席した小池淳義代表取締役社長は、セイコーエプソンとの縁で「我々の大きな夢であった後工程のパイロットラインを進めることができるようになった」と語り、ラインを含む研究開発拠点を「ラピダス・チップレット・ソリューションズ(RCS)」と名付けたと明らかにした。RCSを生かし前工程だけでなく後工程も含め一体とし「最高のスピードと最高の技術を顧客にすすめられる」と述べた。 RCSは約9000平方メートルの床面積を持つクリーンルームを備え2025年4月より製造装置を導入。26年4月を目標に研究開発を始める計画。フリップ・チップ・ボール・グリッド・アレイ(FCBGA)、シリコン(Si)インターポーザー、再配線層(RDL)、ハイブリッド・ボンディングの各工程に対応したラインを設置。装置の自動化も含めた量産技術を隣接のラピダス拠点「イノベーティブ・インテグレーション・フォー・マニファクチャリング(IIM)」に移転。IIMは24年12月に紫外線(UV)装置を搬入予定。27年から量産開始する目算だ。 RCSを置くセイコーエプソン千歳事業所はプロジェクター用小型液晶パネルの製造拠点。同社の小川恭範代表取締役社長は「重要な国家プロジェクトに協力できることは誇らしく期待も大きい」とし、無駄を省きより小さくより精緻にするセイコーエプソンの「省・小・精」の考え方や生産技術で貢献する意向を述べた。 工事安全祈願祭には工事を手掛ける竹中工務店の佐々木正人取締役社長、ラピダスのチップレット技術開発を支援する経済産業省、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)も参加した。
電波新聞社報道本部