日経ビジネス電子版、5年ぶりのリニューアル:3つの”タイム”を軸に編集体制・コンテンツも変更
2024年2月20日にリニューアルした「日経ビジネス電子版」。2019年1月の日経ビジネス電子版創刊から5年ぶりのリニューアルとなる。今回のリニューアルの核になったのが、「読者体験ではなく、顧客体験の改善」だ。リニューアルのポイントや効果などについて、株式会社日経BP 日経ビジネス電子版編集長 原 隆 氏にお話を聞いた。
デザインの変更はリニューアルではない。体制とコンテンツのあり方から見直す
原氏は、2022年4月に日経ビジネス電子版の編集長に就任。就任してまもなく「リニューアルせよ」と会社から指示があったという。日経ビジネス電子版創刊から3年が経ち、これまでデザインの修正など細かく改善を行っていたものの、抜本的に変革する必要があると原氏は考えた。
┌────────── 日経ビジネス電子版の創刊は、それまで運営してきた日経ビジネスオンラインと週刊誌『日経ビジネス』を一体化させる目的がありました。今回のリニューアルでは、これからさらに成長軌道に乗せるために編集部の体制も含め、コンテンツのあり方を見直さなければいけないと最初に考えました(原氏) └────────── コンテンツのあり方とは、特にスマホでの読まれ方だ。原氏は、雑誌コンテンツはPCでは読めるが、スマホだと記事が長すぎて相性が悪いと考えていた。日経BPの媒体のなかでも、日経ビジネス電子版はスマホからのアクセス比率が比較的高く、UXを含めて考える必要があった。コンテンツとデザインの議論では「箸の前にカレーが置いてある」という例えがあったという。 ┌────────── スマホで読む人に、長いコンテンツを提供するのは、箸の前にカレーを置くようなものです。箸に合う料理に変えていかなければ、いくら編集部が熱量高く記事を書いても顧客に届きません。スマホで次々に読みたくなるような記事は、雑誌の記事とは異なる工夫が必要です(原氏) └────────── そして編集部の体制については、より機動的に動ける仕組みに変える必要があった。 ┌────────── 編集長がいて、その下にデスク、記者がいるという体制では機動力に欠ける。記者一人ひとりが専門性を持ち、その集合体が日経ビジネス電子版という形にいずれしていきたいと思いました(原氏) └────────── なお、リニューアルにあたっては、企業のブランド戦略を手がけるI&CO (アイ・アンド・コー)をパートナーに選んだ。I&CO創業パートナーのレイ・イナモト氏へのインタビューで原氏が居合わせ、「実践的な未来」という考え方に共感したからだ。日経BP側のリニューアルメンバーは、原氏、システム開発担当者、データアナリスト、編集部員など8名だったという。