日経ビジネス電子版、5年ぶりのリニューアル:3つの”タイム”を軸に編集体制・コンテンツも変更
読者体験ではなく、顧客体験と捉えて、顧客の反応にあわせて改善をする
┌────────── リニューアル全体を通して、読者体験ではなく、顧客体験を良くすることをテーマにしました。これまでは読者として考えてきましたが、雑誌、電子版、イベントやセミナーも含めて日経ビジネスというブランドに接する顧客であり、自分たちの仕事はブランドビジネスであると捉え直しました(原氏) └────────── 顧客体験を考えるにあたって、日経ビジネス電子版の中心的な顧客である経営者数名に、1日の過ごし方、情報収集の時間や手法についてインタビューを実施した。
その結果をもとに経営者のタイプをライフスタイル、マインドセットなど、9象限に分類して体系的に整理をした。整理する中で、私生活よりも仕事に比重を置いていて、スタートアップよりも大企業に属している、といった顧客像が見えてきたという。
┌────────── 若者がタイパ(タイムパフォーマンス)を重視すると言いますが、経営者こそ時間がありません。情報収集の時間にも競合が多く存在することから、時間をベースにリニューアルすることになりました。そこで導かれたのが『タイムパフォーマンス』『タイムリー』『タイムレス』の3つの軸です(原氏) └──────────
タイムに関する3つの軸で、リニューアルを行う
ここでは3つそれぞれの軸に、どのような体験を実現したのかをみていこう。 ■ [その(1)] タイムパフォーマンス
タイムパフォーマンスの改善は、1記事の長さを2,000文字前後にしたこと、記事の要点となる3ポイントを最初に示すこと、Read time(読了時間)を示すことなどに表れている。ただし文字数に関してインタビュー記事などは例外となっている。
┌────────── スマホで読むには、2,000文字くらいが限界です。Read timeは、10分以上の場合は赤字で表示し、ユーザーがスマホでのクリップ機能で保存してPCで読むという流れを想定しています。デバイスとコンテンツの組み合わせが最適でないと顧客体験が悪くなるので、読了時間を先に示すことにしました(原氏) └────────── なお、記事の要点については社内で構築した環境下においてのみ、生成AIを使って書くことをデスクに許可している。ただ、現状では「自分で書いたほうが早い」ということで手動で作成しているケースが多い。リニューアルにあたって、やることが増えた分、業務を効率化できるように工夫しているという。 ■ [その(2)] タイムリー