やっぱり「ひきこもり」の原因は「人間的に弱い」だけじゃない…血液検査で分かる、ひきこもりの「危険な前兆」
ジェットコースターで結石を出す、うんちを移植してガンや認知症を治す、万引きや虐待の時に活性化する脳の部位がある…。こうした研究は実際に存在するものです。 【写真】性の先進国スウェーデンに学ぶ「幸福な”夜”の過ごし方」 そして、最先端の研究分野ではこのほかにも身体や病気について次々と新しい事実が明らかになっています。そんな“人体の話”をまとめたのが『ウソみたいな人体の話を大学の先生に解説してもらいました』。 Xのフォロワー22万越えの大人気ニュースサイト「ナゾロジー」の協力のもと、岡山大学大学院教授の中尾篤典氏と脳神経科学者の毛内拡氏が解説します。(※本記事は同書の一部を抜粋・編集したものです。)
日本に146 万人以上のいる「ひきこもり」
ひきこもりは、オックスフォード辞書でも「hikikomori」と表記されており、和製英語として普通に使われる言葉になっています。 定義としては、「仕事や学校に行かず家族以外の人との交流をしないまま6カ月以上自宅にとどまり続ける状態である」とされており、日本では146 万人以上のひきこもりがいると推定されています。 そういうと、ひきこもりは日本特有のものかと誤解されますが、COVID-19 が世界で猛威を振るい、外出や渡航が制限される中、世界中でもhikikomori が急増し大きな問題になっています。 そんなひきこもりについて最近、九州大学の研究チームが新事実を発見しました。日本人のひきこもりは健常者と異なる特徴的なパターンを示すことが血液検査でわかり、それがひきこもりの重症度と関係することが示されたのです。(1) 私たちの救急外来にも、多くのひきこもり状態にある患者さんが運ばれてきます。社会との関係を完全に断ち切っているわけではなく、インターネットなどでつながっている人もいます。 「ひきこもり」とは病名ではなく状態です。発達障害、適応障害が原因である場合もあり、精神科的介入が必要なうつ病や統合失調症が原因である場合もあります。したがって、治療には多方面からの介入が必要となりますが、これまでは主に社会的・心理学的アプローチが取られてきました。 しかし、血液成分の変化があるのであれば、医学、生物学的な要因が根底にあるかもしれず、内科的にアプローチができる可能性が出てきました。