【丸の内Insight】みずほが埋めるミッシングピース、反転攻勢なるか
東京センチュリーは09年から11年にわたって社長を務めた旧第一勧業銀行出身の浅田俊一氏が大胆なビジネスモデル改革に努め、同社を業界大手に育て上げた。
一方で、力を付けるにつれてみずほFGとの関係は冷え込んでいった。その象徴が20年に同社が実施した第三者割当増資だ。約930億円の新株発行により伊藤忠商事が30%弱の筆頭株主になり、NTTが10%保有の大株主となった。みずほの出資比率は、親密先の不動産会社などを合わせて三分の一を超えていたものが、約3割にまで低下した。
しかも、同じ時期に東京センチュリーは三菱UFJ銀行に取引拡大を求め、主力取引行のみずほ銀と並ぶ平行主力行の地位に引き上げた。一連の動きでみずほFGが描いていた系列リース3社集約の流れは暗礁に乗り上げた。
二つの期待
藤原氏は、1985年に旧第一勧業銀行に入行。経営企画部門を中心に歩み、2017年にみずほ銀行頭取に就任した。「朝起きて一度たりとも出社したくないと思ったことはない」というほどの熱血漢だ。誠実な人柄でも知られる。21年4月に頭取を退任し、銀行会長に就任する予定だったが、直前の2月に起こったシステム障害で急きょ頭取を続投。再発防止策の策定や当局対応に追われ、翌年会長に就かずに退いた。
東京センチュリーでは顧問を経て、今年6月に社外取締役に就任しており、関係者によると、東京センチュリーとみずほFGの両サイドから社長就任を請われたという。
経営企画部に在籍していた若手時代から旧行意識の払拭(ふっしょく)を呼びかけ、「Oneみずほ」の実現にまい進してきた藤原氏。その双肩には、東京センチュリーのトップとして同社の成長を加速させると同時に、みずほFGとの関係を再構築し両社の連携強化によるシナジーを発揮するという二つの期待がかかっている。
東京センチュリーの広報担当者は藤原氏の社長就任について、同社のプロセスにのっとり決まったものとした。みずほFGの広報担当者は、コメントを差し控えるとした。
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Taro Fuse