【丸の内Insight】みずほが埋めるミッシングピース、反転攻勢なるか
みずほFGは楽天カードの普通株14.99%を1650億円で取得。まず12月にみずほ銀行と楽天カードの提携カード「みずほ楽天カード」を発行する。利用者はカード決済のたびに楽天ポイントがたまるほか、振込手数料が無料になるなど銀行取引でも特典が受けられる。
みずほのグループ内には、カード事業ではオリエントコーポレーションやUCカードが存在するものの、ライバルである三菱UFJFGの三菱UFJニコスや、三井住友フィナンシャルグループの三井住友カードと比べると力不足は明らかだ。グループのカード事業をどう立て直すのかは、みずほFGの課題だった。過去には、独立系のクレディセゾンの取り込みに動いたこともあるが、実を結ばなかった。
とりわけ金利の復活によって、利率の高さに引っ張られて即座に移動する資金が増えており、銀行にとって粘着性が高い個人の決済性預金の重要性が高まっている。今回の提携カードは、引き落とし口座にみずほ銀行を指定しており、個人の主力決済口座として利用されれば資金が滞留し、安定した調達基盤になり得る。
ただ、楽天カードへの出資比率は15%未満にとどまっており、みずほFGが得られる直接の収益は配当収入だけだ。楽天カードとオリコやUCカードとの協業も打ち出しており、提携の深化を進めて出資比率の引き上げにこぎ着けられるかどうかは今後の課題となる。
系列リース会社社長に前頭取が就任へ
みずほのグループ戦略上のもう一つのミッシングピースだったのがリース事業だ。みずほの系列リース会社には、いまだに旧行のくびきが残る3社が存在する。旧第一勧業銀行系の東京センチュリーと、旧富士銀行系の芙蓉総合リース、旧日本興業銀行系のみずほリース(旧興銀リース)だ。みずほリースにはみずほFGが約23%を出資しているものの、売り上げ規模の大きい東京センチュリーと芙蓉総合はいずれもみずほFGから距離を置く関係が続いている。
その東京センチュリーの社長にみずほ銀行の前頭取だった藤原弘治氏が来年4月1日付で就任する。頭取経験者が系列会社社長を務める異例のケースとなる。