商談では重いペンを用意すべき? プレゼンを成功に導く「心理学的テクニック」
視覚と聴覚のノイズを削除する
聞き手に話の内容に集中してもらうためには、できるかぎり「ノイズ」が起きないように気を付けます。聞き手に自然と入ってくる余計な物事のことを総称して「ノイズ」と呼びます。ノイズには聴覚と視覚の2つがあります。 【聴覚ノイズ】 聞こえたら邪魔な音のことです。自分やスタッフはもちろん、参加者にスマホの電源を切るかマナーモードにするよう依頼します。 会場を借りる場合は、隣の部屋がノイズを立てないか確認しましょう。動画放映や演奏など音が出る催しではないかという内容確認はもちろん、スケジュールも確認します。こちらが大事な話をしている最中に、隣の部屋の参加者が休憩時間などで廊下にあふれて賑やかになることもあるからです。 【視覚ノイズ】 話し手自らが起こしてしまう視覚ノイズは、身に付けているものが原因です。 例えば、ブランドロゴが大きく入った衣装や高級ブランドの腕時計。ブランドのロゴのほうが目立ってしまうと、話し手の言葉よりもロゴのほうが印象に残ってしまいます。場に対して高級すぎる装飾品は「この人儲けているんだろうな」と聞き手に他のことを想像させてしまいます。 動くものもノイズです。ポインターをぐるぐると振り回したり、貧乏ゆすりをしたりするなどの悪癖のほか、女性の場合ユラユラと揺れるイヤリングやピアス、アクセサリーを付けるとノイズに該当します。ヒトは動くものに視線を向ける習性があるため、とくに注目してほしい部分以外は動かないようにしましょう。 さらに文字や数字にも、つい視線を向けてしまう傾向があります。例えば、室内に貼っているポスターやカレンダー。話す内容と関係ない別のイベントの案内が掲載されていたら気が散ってしまいます。話の間だけ外しておきましょう。もちろん原状復帰で元の状態に戻しておくことをお忘れなく。
矢野香(国立大学法人長崎大学准教授)