最低賃金1500円に引き上げ、約5割の企業が「不可能」。実現には「低価格で受注する企業の市場からの退場促進」の声も
東京商工リサーチが実施した「最低賃金1500円に関するアンケート」によると、最低賃金(時給)が全国平均1500円に引き上げられた場合、約5割(48.4%)の企業が引き上げは「不可能」と回答している。 2024年10月に全国の最低賃金が平均1055円に引き上げられ、政府はこれまで2030年代半ばとしていた最低賃金1500円の目標を、2020年代に前倒しした。最低賃金の全国加重平均額1055円から1500円を達成するには42.1%の引き上げが必要となる。 5年後には対応を迫られることを踏まえ、東京商工リサーチは基調調査を実施。最も多かったのは「不可能」で48.4%。一方、「すでに時給1500円以上を達成」が15.1%、「可能」は36.3%で合計51.5%が対応可能と回答した。
回答を企業規模別に見ると、「不可能」は大企業が34.7%、中小企業が49.6%。中小企業が14.9ポイント上回っている。
産業別では、「すでに達成」が金融・保険業で33.3%、情報通信業が30.6%で3割を超えた。一方、「不可能」は小売業が62.3%、製造業が60.7%で6割を超えている。 時給1000円以上の地域(16都道府県)で、「すでに時給1500円以上を達成」している企業の割合が10%を超えているのは12都府県。一方、時給1000円未満の地域(31県)では、「不可能」の回答割合が60%を超えるのは19県。 「不可能」と回答した企業へ「どのようにすれば可能になると思われる」かを複数回答で聞いたところ、最多は「賃上げ促進税制の拡充」で49.8%。「生産性向上に向けた投資への助成、税制優遇」が41.2%、「低価格で受注する企業の市場からの退場促進」が31.6%で続いた。 規模別では、「賃上げ促進税制の拡充」は大企業が56.5%、中小企業が49.4%で、大企業が7.1ポイント上回った。「解雇規制の柔軟化」は大企業が20.9%、中小企業が26.5%で、中小企業が5.6ポイント上回っている。