2024年の「学習塾」倒産 件数、負債が過去最多 少子化と競争が激化、淘汰の時代に
2024年「学習塾」倒産の状況
1月4日、大学受験予備校の「ニチガク」を運営する(株)日本学力振興会(TSR企業コード:293847398、新宿区)が事業を停止し、負債約1億円を抱えて破産申請の準備に入ったことがわかった。 受験シーズンを目前にしたタイミングでの事業停止は、約130名の生徒や多くの関係者に混乱を招いている。 大学受験予備校などを含む「学習塾」の倒産は、2024年は53件(前年比17.7%増)に達し、2000年以降では2023年の45件を超えて、過去最多を更新した(速報値)。 また、負債総額も117億4,400万円(同827.6%増)で、2023年(12億6,600万円)の9.2倍増と大幅に増え、2000年以降で過去最多となった。 2024年の負債額が膨らんだ最大の要因は、個別学習塾運営の(株)個別指導塾スタンダード(TSR企業コード:870629107、福岡市博多区)が、2024年6月28日福岡地裁に民事再生法の適用を申請したため。負債総額は約83億2,400万円で、2000年以降の学習塾倒産では最大規模となった。これまで学習塾の倒産は中小規模が中心だったが、中堅以上にも広がりつつある。 学習塾の形態は、集団指導塾、個別指導塾、コロナ禍で広がったオンライン塾など多様化し、それぞれ特徴を打ち出している。ただ、その分だけ競争が一層激化し、より目に見える成果や実績が求められている。また、学習塾は小資本でも参入可能で、最近は動画サイトを活用したオンライン上での無料コンテンツも新たな脅威になっており、生徒獲得の競争相手は増える一方だ。 過当競争が続く学習塾市場は、少子化で生き残りをかけた競争が繰り広げられており、2025年も引き続き淘汰の波が押し寄せ、倒産や休廃業が増える可能性が高まっている。 ※本調査は、日本産業分類の「学習塾」の倒産(負債1,000万円以上)を集計、分析した。 ✔負債額別は、「1千万円以上5千万円未満」が37件(同69.8%)と約7割を占めた。一方で、10億円以上が2件発生した。 ✔原因別は、最多が「販売不振」の42件で約8割(構成比79.2%)を占めた。 ✔形態別は、「破産」の46件が最多で9割(同86.7%)にせまる。一方、再建型の「民事再生法」は3件にとどまった。