“成功率90%”修理人 “捨てずに直す国”タイからSOS「夢の野外映画」映写機を修理
■映写機は大切な“相棒”
野外映画の仲間 バンクさん(29) 「なぜか分からないけど、回転が止まってくれない。回転が止まるはず」 故障したのは、スクリーンに映像を投影するためのレンズを回転させる部分。 本来、フィルムの位置に合わせ自動ですぐ止まるはずが、なぜか回り続けて止まらなくなってしまったんです。 今井さん 「コレこう切り替わって何を切り替えているんだろう?」 今井さんも、初めて目にする業務用のフィルム映写機。まずは、仕組みを一から学びます。 今井さん 「これは回るんだよね?これはどう?マグネットね、吸い付くのね。磁石が近付いてくるとONするスイッチがコレとコレ。それがONしないのか、ONしてもその先の制御装置が動かないのか」 祈るように見つめるブライトさん。 ブライトさん 「野外映画は、子どものころ『一番の娯楽』。それを仕事にすることは、ずっと夢だった。タイでも映画館のデジタル化が進んで、フィルムは撤去されている。映像はこっちの方が良い。こっちの方が美しい」 子どものころ、地元の寺院で開かれた野外映画のトリコになったというブライトさん。 フィルム映画にこだわっているブライトさんにとって、この映写機は替えの利かない大切な“相棒”です。 黙々と故障の原因を探り続ける今井さん。いつしか辺りは真っ暗に。 今井さん 「この基板のどれか部品の不良ってこともある」 一通り調べた結果、故障の可能性が高そうな基板を預かることに。翌日、ホテルで基板の修理に挑みます。 今井さん 「全部つながってないといけない。4本くらい切れている。短いのが切れているやつ」 千切れていた配線を、ハンダで補修。さらに基板の銅線も切れていました。 すると、日本から持ってきたかばんから取り出したのは…。 今井さん 「じゃあまあ、こんな線を使って足すと“たまたま線”。“たまたま”あった“線”でなんでも良い。電気を通す線だったら」 とりあえず修理は完了。ところが。 今井さん 「初めての機械だから動かしてみないと分からないね。現場に行きましょう」 ブライトさんの映写機は直るのでしょうか。 今井さん 「よし、これでテストしてみるか」 果たして…。 壊れて回り続けていた部分がぴったりと適切な場所で止まりました。見事、修理完了です。 今井さん 「謎の機械が直りました」 皆さん、直って大喜び。 ブライトさん 「天才すぎる。今井さんの腕は神がかっている」 その日の夜、復活を祝い上映会が開かれました。お客さんは近所の住民たちと今井さんです。 今井さん 「良いね、野外映画、良いね。日本でもやってもらうと夏、野外で見るの良いね」 これにて一件落着ですが、実は今井さんのタイ修理旅は、これで終わりじゃないんです。