「面接官や上司選べる」若手人材確保の“驚く手法” 人材不足が深刻、人に合わせる人事戦略が重要
ここでクギを刺しておきたい。「人に合わせる経営・人事戦略」は「ちょっとやってみて、うまくいかなかったらやめたらいい」レベルで考えてはいけない。これから日本は「人が採りたくても採れなくなる」時代に突入していく。そのような状況を考えると、人材が「ここであれば成長できる」「この会社ならとどまろう」と思えるような仕組みを整えていくことは、これから企業が生き残っていくためには対応必須の課題だと言える。 「働く側に迎合しすぎじゃない?」「そんなに甘やかした若手社員が仕事するの?」と思う人もいるだろうが、働いている社員、求職者にそっぽを向かれてからでは遅い。私も1人の経営者として、残された道は人材が成長や居場所感を感じられるように、「うまくいくまでやる」一択だと肝に銘じている。
とはいえ、注意すべきこともある。それは、「社員をお客様扱いするな」ということだ。離職を防ごうとして、負荷がかかる業務はさせない、残業はさせないなど「一見すると働きやすい職場」にしたものの、逆にそれが原因で若手が辞めてしまう事態も起きている。 リクルートワークス研究所が2022年に行った調査によると、大手企業の入社1~3年目までの社員のうち、「現在の職場を『ゆるい』と感じるか」という質問に約36%が「あてはまる」「どちらかと言えばあてはまる」と回答。さらに興味深いことに、職場が「ゆるい」と感じている人ほど、働いている会社で働き続けたい意向が弱い結果となっていた。
なぜか。若手の離職者からよく聞かれるのは、「このままここにいても成長できないのではないかと感じた」という理由だ。それはそうだろう。「無理しなくていいよ」「楽しくやればいいよ」というだけの環境は、部活でいえば「勝ち負けではなく、楽しくやれればいいよ」状態。「楽でいいや」と思う人材は残るが、向上心がある人材は離職していくことになる。そうなると、企業も成長しない。成長しない企業は市場から淘汰されてしまう。