「面接官や上司選べる」若手人材確保の“驚く手法” 人材不足が深刻、人に合わせる人事戦略が重要
「だから外国人労働者を雇ってなんとかする」という方策も赤信号だ。「超円安」という状況で「日本で働きたい」という外国人労働者は減っている。出稼ぎするのにわざわざ給料が目減りする国を選ぶ人はいないのだから、当然の流れだろう。 こうして冷静に状況を俯瞰して見てみると、どこにもポジティブな要素がない。筆者もネガティブな話題をしたいわけではないが、現実を見ず楽観視するのは”死”を意味する。企業はこの現実を「スタートライン」と捉え直すしかない。
相対的に「人の価値」が上がった今、「企業や仕事に人が合わせる」時代は終わったと考えなければならない。「労働力が豊富な時代」に戻ることはもうない。過去を振り返らず、「人に合わせる経営・人事戦略」に舵を切るしかないのだ。 ■上司選択制を導入している会社 北海道の企業が行っている「上司選択制」を知ったとき、筆者は「確かにこういう動きが出てくるだろうな」と納得した。「上司選択制」とは、上司の性格や得意・不得意をあらかじめ社内に公開し、部下たちはそれを参考に一緒に働きたい上司を選ぶというものだ。
「GOOD ACTION アワード」(リクナビNEXT主催)を受賞した取り組みで、上司とのミスマッチで退職する若者が少なくなかったことが導入のきっかけだったという。結果、離職率減を達成。これが「人に合わせる人事戦略」の好例だ。 「人との相性の問題で異動したいと言えば、他の会社ではワガママだと言われるのかもしれない。でも当社ではそのワガママは許容したい。なぜなら、社員に対して『この上司の下しかダメ』と押し付けるのは不誠実な気がしたから」(同アワードサイトより引用)という同社代表の言葉にあるように、「人が組織に合わせるべき」という従来の社会通念だと発想すら浮かばなかったに違いない。
制度のバックボーンに「望む仕事や技術の習得に集中できる会社にしたい」という意図があったことも重要だ。社員たちは目指すキャリアに合わせて上司を選んだり、上司の苦手部分を補う立ち回りをするようになったり、自律的な社風になったという。 ■大学生が面接官を選べる制度も また別の事例では、就活中の大学生が1次面接の面接官を選べるようにした企業の取り組みも話題になっている。こうした「人に合わせる」戦略は、若手人材の確保に頭を抱えている中小企業やベンチャー企業の間で広がっていくだろう。