ドーパミンをいかにうまく使うか? 脳科学者が語る、人生の幸運をつかむための「意外な」方法
「運が良い人」の秘密は「習慣」にあった――第一線で活躍する各界の著名人たちが実践してきた「とっておき」を明かす。今回は、自身の英語の著書『IKIGAI』が世界中でベストセラーとなっている、脳科学者の茂木健一郎氏が、幸運を呼び寄せるための習慣を語る。 運を動かすと書いて運動…!著名人が明かす「私の開運術」 茂木健一郎(脳科学者)/'62年、東京都生まれ。脳科学者。ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。『脳と仮想』『強運脳』『脳を活かす勉強法』など著書多数
「TO DOリストは作らない」
仕事が多様化している現代では、TODOリストを作る人が増えました。 そうすると、リストの上から順番にやることをこなしていくというように、自分の仕事やスケジュールが決まっていきます。 かつては、僕もシステム手帳でリストを作っていたのですが、役に立たないと思ってやめました。いまは、締め切りなどの最低限のメモしかとりません。 なぜかといえば、ドーパミンを出すためです。
ドーパミンで「強運脳」になる
ドーパミンは欲望を刺激する「報酬系」の神経を担っています。放出されると快楽を感じて学習が進み、積極的で前向きな人間に変わっていきます。そして、その人は「強運脳」となって、幸運を呼び寄せます。 いま最もドーパミンを出しているのは、イーロン・マスクかもしれません。起業をしたりトランプ政権の政府高官になったり、彼は不確実な状態に身を置いています。 この不確実な状態が、ドーパミンを出すために最適なんです。わかりやすいのはギャンブルや恋愛ですね。安定した生活や決まった人間関係でなく、より大きなスリルを求めて動くとドーパミンが出るんです。 でも、TODOリストでスケジュールを埋め尽くすと、予想もしない突発の仕事を引き受けたり、自分が思いついたことを実行したりすることができません。「資格をとって仕事に就く」とか「会社の昇進制度に合わせる」のは、ドーパミンをあまり出していないのです。 いまは人工知能にしても、国際情勢にしても、どんどん変わる時代です。そういうときは、計画を未定にしておくことも大事です。計画を立てる必要がある場合でも、臨機応変に対応できる状態にしておくのです。 「週刊現代」2024年12月28・2025年1月4日号より
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