神戸・武藤 感謝、感謝のMVP受賞「家族なしに今の僕は…」 2連覇と個人2冠を得たエースの来季は…
今季の各賞を表彰するJリーグアウォーズが10日、横浜市内で開催された。史上6クラブ目のリーグ連覇を果たした神戸のFW武藤嘉紀(32)が最優秀選手賞(MVP)を初受賞した。 価値を高めるシーズンと位置付けた24年、個人として最高の栄誉を手にした。今季リーグ37試合13得点7アシスト。タキシード姿で登壇した武藤は満面の笑みで周囲に感謝した。 「本当にありがとうございました。チーム全員が獲らせてくれた賞で感謝します」 肋骨を折りながら試合終了間際に決勝点を奪った4月20日の湘南戦。8月25日の鳥栖戦では腰痛を抱えながら2アシストした。自身が「今季一番、感情が爆発した」と振り返った終了間際に劇的な同点弾を叩き込んだ11月30日の柏戦。優勝を決めた12月8日の湘南戦では1ゴールを含め、2得点に絡んだ。チームが苦しい時、大事な試合の時、誰よりも輝いたのが背番号11だった。 「僕自身で一人で乗り越えられたことは何一つありません。僕を支えてくれた家族なしには今の僕は決してないと思っています」 21年に神戸加入後は単身赴任生活を送る。家族の誰かが体調不良になれば、会うのもキャンセル。9月には子供たちから「パパ、東京のチームに来ないの?」と言われたという。「本当に寂しい思いさせちゃっているんだな」。心を痛めたが、それでもストイックにサッカーと向き合い、チームの2連覇と天皇杯優勝。そして個人としてMVPとベストイレブンの2冠を手にした。家族とともに記念撮影に応じた際は、良きパパの顔だった。 「来季さらに成長できるように、地に足をつけて慢心せず、日々努力していきたい」。現在は神戸との契約延長交渉中。去就について言及は避けた。史上2クラブ目のリーグ3連覇へ挑むか、他クラブへ活躍の場を求めるのか。シーズンが終わっても“Jの顔”から目が離せない。 (飯間 健)