【斎藤氏と石丸氏】二人が歩んできた「キャリアの違い」から見える、政治家としての“強み”と“課題”
先日の兵庫県知事選で111万3911票を獲得して再選を果たした斎藤元彦氏。当初パワハラ疑惑などで劣勢の状況から、SNSでの情報発信を有効活用し、20代~40代までの若者層の支持を得て見事に圧勝した。 SNSを選挙に有効活用した点において、7月の東京都知事選に立候補した石丸伸二氏を重ねた人も多いだろう。 共に40代の若手政治家であり、地方自治体のトップを務め改革を進めてきた二人だが、それぞれが歩んできたキャリアの違いから見える政治家としての資質や強み、そして課題はどのような点にあるのだろう。
◆東大と京大、官僚と民間トップ企業出身というキャリアの違い
斎藤氏と石丸氏の分かりやすい共通点は、斎藤氏は東京大学卒、石丸氏は京都大学卒という「学歴エリート人材」であるという点である。確かに二人のメディアでの受け応えは大変論理的で、話し方や説明も分かりやすい。 偏差値トップ大学の出身者は受験で求められる知識量や記憶力が着目されがちだが、実は「論理的思考力」が高いことが共通点として挙げられる。 多くのメディアや有権者に対して政策やビジョンを伝える際に、より論理的に分かりやすく伝えるためには、この論理的思考力が必須であり、斎藤氏と石丸氏は共にその能力に秀でていることが分かる。 一方、対照的なのは二人のファーストキャリアの違いである。 斎藤氏は大学卒業後に総務省に入省して官僚に、石丸氏は民間の大手メガバンクである三菱東京UFJ銀行(現三菱UFJ銀行)に入行している。 斎藤氏は早くから三重県、新潟県佐渡市、宮城県などの地方自治体にも出向。2018年には大阪府の財政課長として維新府政の「身を切る改革」を現場で支えてきた。 まさに兵庫県でさまざまな財政改革を進めることができたのは、官僚時代に各地方自治体で財務面における実務経験が豊富だったからであろう。 それに対して石丸氏は入行後に姫路支店などに配属された後、2014年には為替アナリストとしてニューヨークなどで海外駐在員として金融業界の最前線で経験を積んできた。 この民間トップ企業で培った経験やビジネス感覚を生かして、2020年に広島県安芸高田市の市長になってからは財政の健全化だけでなく、ふるさと納税額や市の公式YouTubeアカウントの登録者数を飛躍的に伸ばすなど、PR面の結果も残している。 まさに官僚出身の斎藤氏、民間企業出身の石丸氏らしいそれぞれの強みの発揮の仕方といっていい活躍っぷりである。