独メルツCDU党首、保守系の統一首相候補に-来年の総選挙で
(ブルームバーグ): ドイツのキリスト教民主同盟(CDU)と姉妹政党のキリスト教社会同盟(CSU)は、統一首相候補にメルツCDU党首を指名した。2025年9月に予定される次期国政選挙で社会民主党(SPD)を率いるショルツ首相と対決する。
同じく首相候補に名乗りを上げていた、CSU党首でバイエルン州首相のゼーダー氏が指名候補争いから撤退し、メルツ氏(68)に道を譲った。21年の前回選挙では候補争いが長引きSPDに逆転を許す一因となったが、その繰り返しをCSUは回避した。
メルツ氏は17日、ゼーダー氏と並んでベルリンで記者会見し、「われわれには、やり遂げなければならない課題がまだたくさん残っていることを理解している」と述べ、「野党という立場でも、これまでに成し遂げてきたことがある」と続けた。
メルツ氏は法律家で、ブラックロックのドイツ事業監査役会会長を務めたこともある。政敵だったメルケル元首相が政界を引退した後の22年にCDU党首に就任した。
ショルツ首相(66)はメルツ氏を対戦相手として好都合とみている。首相の意向に詳しい関係者によると、メルツ氏の支持率が比較的低いことから、同氏が相手なら首相は勝利を確信しているという。
「メルツ氏が候補なら、自分には問題ない」と首相はこれより先の17日、カザフスタンに向かう途中に記者団に述べた。
CDUはドイツの主流派保守政党で、党首はほぼ常に保守連合の最有力首相候補となる。戦後にCSU党首が首相候補となったのは2人だけで、いずれも政権奪取には失敗した。
今回はメルツ氏の個人能力評価が弱く、政権を奪還できるのか疑問符が付いていた。
それでも、最近の世論調査によると、CDU・CSUの政権奪還に向けた視界は良好だ。同連合への支持率は3年半余りで最高の水準に上昇したことを、独紙ビルト日曜版の委託でインサが行った調査が示した。
CDU・CSUの支持率は前週より2ポイント高い33%で、21年2月以来の水準。一方、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」は19%で支持率2位につけている。