小倉智昭さんと「とくダネ!」で20年共演した笠井信輔アナが明かす「最後の会話」と「番組の黄金時代」
2024年12月9日、キャスターの小倉智昭さんがぼうこうがんのため亡くなった。77歳だった。数々の番組に出演してきた小倉さんだが、22年間にわたりメインキャスターを務めたのは、朝の情報番組「とくダネ!」(フジテレビ系)だった。元フジテレビで現在はフリーの笠井信輔アナウンサーは「とくダネ!」で長年共演するなど、小倉さんとの付き合いは25年に及ぶ。生前の小倉さんは笠井さんに死への向き合い方や闘病生活について語っていた。またシャイで皮肉屋な一方で、弱者への思いやりを忘れない温かさなど、さまざまな顔を見せていた。笠井アナだけが知る小倉さんとの思い出を語ってもらった。 【写真】「とくダネ!」卒業を見送る小倉智昭さんこちら * * * 小倉さんが亡くなる2日前の12月7日。笠井さんは、小倉さんの携帯電話を鳴らした。 「小倉さんが入院したという話を聞いたからです。その頃は具合が良くなったり、悪くなったりを繰り返していたので、『あっ、また入院したのか』と思って、電話で容体をうかがおうと思ったんです」 だが実際には、小倉さんは病院にはおらず、すでに退院して自宅にいた。 「『昨日、退院したんだよ』と言うので少し詳しく話を聞いたら、もう治療の施しようがなく、自宅で最期のときを過ごすための退院なんだということが、だんだんと理解できました。小倉さんは『放射線治療で体じゅう、かゆくて辛かった。腕にも水泡ができて包帯を巻いている。それがまた痛いんだ』『今はもう、ベッドで寝ているだけの状況なんだ』と言っていました。そして、『もう、諦めたんだよね』とも。命を終えることを俺は決めたんだ、という口ぶりでした。悔しそうに『なんかもう、本当に情けない』って言うから、『いや、小倉さん、よくここまで頑張りましたよ、偉いよ』と励しました。そして、『小倉さんと出会えて、今の僕があります。本当にありがとうございました』と伝えたら、小倉さんは『僕の方こそだよ』と言ってくれました」 後に、小倉さんの15歳下の妻・さゆりさんから、笠井さんはこう聞かされた。 「最後の方は、体調が上がったり下がったりで、急にしゃべったり、おとなしくなったり……。笠井さんが電話をくれたときはちょうど意識が覚醒している時で、タイミングがよかったわ」