小倉智昭さんと「とくダネ!」で20年共演した笠井信輔アナが明かす「最後の会話」と「番組の黄金時代」
■小倉さんの「牙」が削がれるようになった 時代が進むにつれ、テレビ番組でもコンプライアンスや危機管理が重視されるようになった。視聴者にウケていた小倉さんの辛口で自由な発言も、徐々に制限されるようになっていった。 「インターネットが普及するにつれ、どんどんコンプライアンスが厳しくなりました。プロデューサーとの打ち合わせでも、『小倉さん、それを言うと炎上するから、そこは抑えませんか』などと言われることが多くなりました。番組末期では、打ち合わせの段階で、小倉さんの角を丸めていくような作業が行われるようになっていたのです。下手に炎上すれば番組が終わってしまうこともあるので、それはしょうがない部分もありました。けれど、小倉さんの魅力というものが、ネットの広がりによって、削がれるようになったことは、厳しい現実でした」 そして、長寿番組の「とくダネ!」も2014年頃から曲がり角に差しかかった。 「放送開始から15年くらいたった頃には、小倉さんのオープニングトークをやめようという話になっていきました。以前のようにオープニングトークで視聴率が上がる状況ではなくなってきたからです。他局の番組に視聴率で負けるようになり、新しく来たプロデューサーが番組をテコ入れするにあたって『オープニングトークをなくします』と決めた後の小倉さんのガックリした表情は、今でも忘れられません。時代の波に乗って人気者になった小倉さんは、また同時に、時代の波に牙を抜かれていったように感じました」 18年11月5日、小倉さんは「とくダネ!」の中で、ぼうこうがんのためぼうこう全摘出手術をすることを発表した。それから1年1カ月後の19年12月19日の『とくダネ!』では、今度は笠井さんが悪性リンパ腫に罹患(りかん)していること、病名は「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫」であることを公表した。 「小倉さんからは『笠井くんは何でもかんでも僕について来たけれども、がんまでついて来るなよ』と言われましたね。そういう意味では、小倉さんとは『がん友』でもあるんです。それからは、小倉さんとがんをテーマにトークをすることが増えました」