ザックがタッチラインで激怒した理由
本田不在も想定していた布陣
選手たちの誰もが「なぜこの時期に」と驚いた3‐4‐3の実戦導入は、本田がオーストラリア戦に間に合わなかった場合に備えたリスクマネジメントでもある。トップ下を置かない「3‐4‐3」がブルガリア戦で上手く機能すれば問題はなかったが、不慣れゆえにぎこちなさが目立った。 後半開始からは4‐2‐3‐1に戻し、故障明けのDF長友祐都(インテル)らを投入したが、攻撃のリズムは戻らない。加えて、失点は2つとも課題とされてきたセットプレーに起因するものだった。4試合続けてセットプレーから失点している状況に、今野は「ありえないこと。ちょっと異常」と表情を曇らせた。 3月のヨルダン代表とのW杯アジア最終予選で喫した黒星で歯車が狂い出し、システムうんぬんの前に、チームの大前提を忘れたかのような戦いに終始したブルガリア戦でますます泥沼にはまりこんでしまった。 選手たちを驚かせた激昂シーンは、チームに喝を入れるためだったのかもしれない。 ザッケローニ監督は、今後を見すえている。「時に負けはよいものだという意見もあるが、私はまったくそう考えてはいないし、負けること自体が好きではない。ただ、私は監督なので、今日よかったところ、悪かったところを冷静に分析して仕事を進めていくだけだ。オーストラリアはブルガリアと違った特徴を持っているので、どう戦うかというところをここ数日間で準備してきたい」。 決戦まであと4日。内田は、ホームで喫した黒星が糧になる、と力を込めた。 「0対1とか0対2で負けている状況は、オーストラリア戦でもあるかもしれない。だからこそ、今日のようなサッカーをしないようにしないと。後ろに、後ろにではなく、前へ、前へ行かないと。でも、オレが分かっているからみんなも分かっている。頭では理解していると思うので」。 日本代表は一夜明けた31日に愛知県内でクールダウンを兼ねた練習を消化した後に埼玉県内へ向かい、6月1日から原点に回帰して最終調整に入る。 (文責・藤江直人/論スポ)