「仕事で手を抜くこと」は悪いことではない…”こじはる”の会社を買収した30歳アパレル社長の「仕事の本質」
■生成AIの登場で2020年代後半はカオスになる 【澤円】そのようにして、短期的な周期で「暴力性」と「しらけ」を繰り返しているとすると、2020年代後半は、また「しらけ」の方向へ進んでいくという見立てですか? 【片石貴展】個人的にはそのようなイメージを持っています。実際、2020年代前半に盛り上がった“神話”は崩壊しつつあるようにも見えます。むしろ多くの人は、「結局プロに勝つには努力するしかない」「他人の足を引っ張らずに真面目に働くしかない」という、ある種の「しらけ」の気持ちを持ちはじめているのではないでしょうか。 2024年現在は、ちょうど「では、いったいなにをしたらいいのだろう?」と戸惑っている移行期であるように感じます。ただ、今後はエンタメに「知性」を掛け合わせたような、エンタメ性が強い知的なコンテンツが伸びていくイメージを持っていますね。 【澤円】知性的な方向へ時代が振れていくという推測ですね。「暴力性」と「しらけ」の短期的な周期のなかで、起業家や経営者の思惑が重なっていく。さらに、生成AIのインパクトが融合するとなると、刺激的な時代になるかもしれません。 【片石貴展】そうですね。2020年代後半はカオスな時代になるような気がしています。 ---------- 片石 貴展(かたいし・たかのり) yutori代表取締役社長 1993年、神奈川県生まれ。ニックネーム「ゆとりくん」。「9090(ナインティナインティ)」「Younger Song」「PAMM」など、2024年時点で約30のアパレルブランドを展開し、独自のSNSマーケティングによって創業わずか6年で年商43億円を達成。2020年7月、ZOZOグループ入りを発表。2023年12月、ZOZO傘下を離れ、アパレル業界では最年少&最短で東京証券取引所グロース市場に上場を果たし話題になった。今後5年で100ブランドまで増やすことで「日本で一番ブランド数が多い会社」として成長し、若者の好きや熱狂が溢れる「若者帝国」をつくるというビジョンを打ち出している。 ---------- ---------- 澤 円(さわ・まどか) 圓窓 代表取締役 1969年生まれ、千葉県出身。株式会社圓窓代表取締役。立教大学経済学部卒業後、生命保険会社のIT子会社を経て、1997年にマイクロソフト(現・日本マイクロソフト)に入社。情報コンサルタント、プリセールスSE、競合対策専門営業チームマネージャー、クラウドプラットフォーム営業本部長などを歴任し、2011年にマイクロソフトテクノロジーセンター長に就任。業務執行役員を経て、2020年に退社。2006年には、世界中のマイクロソフト社員のなかで卓越した社員にのみビル・ゲイツ氏が授与する「Chairman's Award」を受賞した。現在は、自身の法人の代表を務めながら、琉球大学客員教授、武蔵野大学専任教員の他にも、スタートアップ企業の顧問やNPOのメンター、またはセミナー・講演活動を行うなど幅広く活躍中。2020年3月より、日立製作所の「Lumada Innovation Evangelist」としての活動も開始。主な著書に『メタ思考』(大和書房)、『「やめる」という選択』(日経BP)、『「疑う」からはじめる。』(アスコム)、『個人力』(プレジデント社)、『メタ思考 「頭のいい人」の思考法を身につける』(大和書房)などがある。 ----------
yutori代表取締役社長 片石 貴展、圓窓 代表取締役 澤 円 構成=岩川悟(合同会社スリップストリーム) 文=辻本圭介