指揮官“怒りのインタビュー”が呼んだ共感。「不条理な5連戦」でWEリーグ・新潟が示した執念と理念
WEリーグのアルビレックス新潟レディースが、3月後半の5連戦を勝ち越し、“3強”に割って入る形で後半の優勝争いに名乗りを上げている。一方、2週間でアウェー3試合を含む5試合という過酷な日程に対し、試合後のインタビューで橋川和晃監督は怒りを隠そうとしなかった。厳しい冬と連戦の逆境を乗り越え、新潟が見せる強さの理由に迫る。 (文=松原渓[REAL SPORTS編集部]、写真=松尾/アフロスポーツ)
過酷な5連戦の背景
WEリーグで、アルビレックス新潟レディースが優勝争いに名乗りを上げた。3月29日のWEリーグ第13節・ノジマステラ相模原戦に1-0で勝利し、暫定3位をキープ。残り8試合で、タイトルを狙える位置につけている。 だが、試合後のフラッシュインタビューに登場した新潟の橋川和晃監督は、喜びの言葉ではなく、怒りを込めた強い口調でこう訴えた。 「戦術的なことは関係ないです。魂のこもったゲームです。選手は素晴らしいし、スタッフも素晴らしかった。これだけの(過密)日程をスタッフはマネジメントして、選手は戦いました。他に何を望みますか?」 それ以上のことを話すことなく、橋川監督はインタビューを打ち切った。その強烈なメッセージからは、2週間で5連戦という不条理な日程を強いられたことへの抗議の思いが伝わってきた。 これにいち早く呼応したのが、首位を走るINAC神戸のGK山下杏也加だ。山下は、「新潟Lの連戦は異常でしかない」とXでポストし、大きな反響を呼んだ。また山下だけでなく、他のチームや下のカテゴリーの選手たちもその日程に疑問を投げかけている。 WEリーグは今季、代表の日程やAFC(アジアサッカー連盟)が主催するAFC女子チャンピオンズリーグ(女子ACL)のプレ大会の日程などに押される形で、3月の中断明けから5月25日の閉幕までの3カ月弱で全15節を戦うハードな日程となっている。 中でも新潟と浦和は、3月後半の2週間で、アウェイ3試合を含む5連戦。その背景には、浦和が出場していた女子ACLのプレ大会の決勝がリーグ開催日と重なったことがある。その時点で過酷な日程になることがわかり、新潟は代替日として5月中旬開催を提案したが、リーグにより却下され、3月27日に繰り上げられた。 その後、プレ大会の決勝はAFCの判断によって中止となっている。だが、直前のために日程変更はされず、この大会に向けて調整してきた浦和と、日程変更に振り回された新潟は被害者となった。