【知事をかばうには限界……】兵庫県・斎藤知事の側近が相次いで退場した「無責任すぎる背景」
斎藤元彦・兵庫県知事(46)の数々の疑惑を告発した元県幹部のAさん(60)の自死から1ヵ月が経過した。 【写真】知事のパワハラ以外にも…兵庫県元局長が上層部の闇を告発した文書を入手 斎藤知事はこの間に就任4年目に突入したが、辞職についてはあらためて否定。「選挙で県民から大きな負託を受けた」と来年7月の任期満了まで知事を続ける意向を示している。 しかし、斎藤知事を支えた側近である4人の県幹部たちは、最後まで伴走できそうにない。今後本格化する百条委員会などを控え、相次いで離脱しているのだ。総務官僚として’13年から宮城県に出向していた知事と、兵庫県から派遣されていた彼らは、当時から仙台で頻繁につるんでいたことから“牛タン倶楽部”と揶揄されていた。県政の舵取り役たちは体調不良などさまざまな理由をつけて県と距離を置きはじめており、兵庫県は未曾有の大混乱に陥っている。 最初の離脱者は、斎藤県政の右腕である片山安孝副知事だった。7月12日に記者会見を開き、「ほんまに私は悔しゅうてしゃあないですよ」と語って、早々に辞職を表明。7月31日付で退任した。県関係者が打ち明ける。 「辞意表明の後も片山さんは登庁していましたが、本庁内ではほとんど姿を見かけなかった。一連の騒動の主要人物である片山副知事の話を聞こうと多くのマスコミが追いかけていたので、彼らに見つからないよう過ごし、ヒッソリと辞めていった。最終出勤日も式典すらありませんでした」 次いで県のナンバー4に当たり、若者・Z世代応援等調整担当理事を務める小橋浩一氏は体調不良を訴え、異動願いを提出した。これを受けて県は小橋理事を総務部付の部長級に降格させている。彼は告発文が出された後の県側の対応に当たってきた人物でもある。 「週刊文春7月25日号の『兵庫県知事パワハラ告発 元局長を自死に追い込んだ「7人の脅迫者」』という記事の早刷りで、小橋理事含む幹部4人のA氏への脅迫行為が知れ渡った。早刷りの出た7月17日まで、彼は何食わぬ顔で職務に当たっていた。それでも当日の午後には小橋理事は顔面蒼白になっていたそうで、翌18日から登庁しなくなりました。続く22日に正式に降格願いを提出しています」(同前) 死を選んだA氏を悩ませたのは、斎藤知事を含めた上記2名の「ある行動」が原因になったという見方が庁内では根強い。斎藤知事が会見で「嘘八百」「公務員失格」などとA氏を断罪した3月27日の同日、片山副知事と小橋氏がA氏へ聞き取り調査した際の言動がA氏を追い詰めたと見られているのだ。「聞き取り調査が行われたその日から、A氏の様子は明確に変わった」と明かすのは知人男性である。 「斎藤知事や県の対応で最も憤りを感じるのは、Aの告発を事実無根、嘘八百と断言した態度です。Aは県のヒアリングで自分が告発文を書いたことは認めたが、事実無根であるなんてことは、一切認めていない。むしろ、『しっかりと調査してほしい』と片山副知事、小橋理事に懇願している。それなのに直後の会見で斎藤知事に『公務員失格』とまで言われたことに大きなショックを受けていた。『何のために兵庫県に尽くしてきたのか』と呆然としていました」 件(くだん)の片山副知事、小橋理事より県職員の間で評判が悪いのが、井ノ本知明・総務部長と原田剛治・産業労働部長だ。井ノ本氏は7月30日に体調不良を訴えて、委員会などを欠席。原田氏は企業から商品の供与を受けた疑いで、県警から任意で聴取を受けている。 「井ノ本さんはいきなり診断書を提出して、体調不良を訴えた。登庁するとなじみの記者には話すものの、委員会など公の場には一切出てこなかった。一方、原田さんは騒動勃発後も何食わぬ顔で登庁しています。商工会議所関連の懇親会に参加した際は普通に酒を飲んでいて、逆に周囲が心配するくらい堂々としていたと聞いてます」(前出・県関係者) 百条委員会の調査が本格化する前に原田氏を除く斎藤知事の側近3人が離脱したのは、「保身以外には考えられない」と憤るのは、ある県議だ。 「捜査能力が強い百条委員会で幹部たちへの追及が強まることは必至です。アンケート結果の集計が終わり、調査が本格化する8月を前に診断書を盾に逃げ出したとしか思えない」 別の県議が続ける。 「職員の中での斎藤県政への不信感は日に日に高まっている。既に業務に支障をきたしているからです。職員へのアンケートは開始2日間で3500件超が回収された。驚異的なペースです。幹部たちもそんな本庁の空気を感じて、さすがに知事をかばうには限界があると察したのではないか。これまで進めてきた政策を放ったらかして離脱しているわけで、その無責任さも批判されています」 県民や職員たちの受難は、まだまだ続きそうだ……。
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