障がいのある人もない人も、住人みんなで自主管理の「コレクティブハウス大泉学園」。料理は定期で当番制、居室リノベなど大事なことはみんなで決める自立スタイルの暮らし 東京都練馬区
多様な人たちがともに自主運営して暮らすコレクティブハウスは、20世紀中頃にスウェーデンで生まれ、1970年代にスウェーデン・デンマークで普及。今では北米を中心に世界中に広まっている暮らし方ですが、障がいのある人とない人が共に暮らすのは、日本ではまだ難しいのが現状です。自立して暮らしたい障がい者を受け入れる賃貸物件がなかなか見つからない中で、つくりっこの家がコレクティブハウジング社に相談したのを機に2010年にコレクティブハウス大泉学園が誕生しました。みなとやが借り上げている5室以外の住戸には障がいのない人や障がいがあっても自立している人が入居し、障がいのあるなしに関わらず、個々を尊重し合い、対等な立場で暮らしています。 「コレクティブハウスに住んでいる人たちは、一人ひとりは自由で、お互いに顔を知っている関係。友達でも、同僚でも、家族でもなく、一緒に暮らす仲間です」と話すCHCの宮前さん。その理念を浸透させるためのワークショップ開催やパートナーとなる事業者探しなど、コレクティブハウスの開設・運営のための活動は多岐に渡ります。 運営の主体はCHCではなく、あくまで住人たちの居住者組合。さらに建物の所有者から建物をサブリースし、リノベーションして居住者に転貸している事業主(平和不動産)が加わった3者によるパートナーシップで事業は成り立っているのです。
住人が意見を出し合ってリノベーションも
リノベーションにおいてはCHCが話し合いのコーディネートをしながら、「生活保護を受給する人でも入居できるように家賃が4万円代の部屋も欲しい」(つくりっこの家)、「トイレは共用ではなくて各部屋に」(居住希望者)、「家賃から逆算すると建物全体のリノベーションにかけられる予算は3500万円まで」(平和不動産)と、いうように、それぞれの意見を出し合って形にしてきました。
「コレクティブハウスでは、どのように運営していくかを決めるため、住人たち自身で居住者組合を組織しています。大切なのは、多数決にしないことです。多様な人たちが集まっているのだから考え方や意見が違って当たり前。一部の人だけがたくさん話して意見が偏らないよう、話していない人にも意見を言うように促し、全員が納得するまでとことん時間をかけて話し合っていきます。 効率的とは言えませんが、そうすることによって入居者同士、お互いの考え方を理解しつつ、顔の見える関係を築いていくのです」(宮前さん)
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