ジュニアアイドル写真集もアウト? 「改正児ポ法」7月15日から罰則適用
「単純所持」の定義もはっきりせず
また「単純所持」の定義もはっきりしません。改正法のポイントは、単純所持について「自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者は1年以下の懲役または100万円以下の罰金」としたことですが、「性的好奇心を満たす目的」がどんな状況を指すのかが明確になっていないのです。 仮に18歳未満のアイドルのファンが、そのアイドルの胸やお尻が強調された水着の写真集を持っていた場合、「自己の性的好奇心を満たす目的」があったと判断されかねないという意見も出ています。参議院議員の山田太郎氏は今年4月、こうした疑問について質問主意書を政府に提出。しかし、山田氏の「(18歳未満の)フィギアスケート選手の写真集を性的目的で所持したら?」という質問に対する政府の回答は「個別には答えられない」というものでした。 改正法には、適用上の注意として「本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用するようなことがあってはならない」という一文もありますが、児童ポルノの単純所持を禁じている諸外国では入浴中の子どもを撮影した写真が児童ポルノと判断され逮捕された人がいるのも事実。そのため「自分の子どもの水着写真を所持しているだけで処罰の対象になるのでは」と心配する声が上がっています。
昨年の摘発件数は過去最高
改正法の成立から本格的な施行まで1年間の時間があったのは、児童ポルノを破棄するための猶予期間を設けたためでした。とはいえ、その間に行なったのは法務省ホームページの告知などで、「児童ポルノ」と「単純所持」の定義もいぜんよく分からないまま。その一方、警察当局は昨年摘発した児童ポルノ事件が1596件に上り、過去最高だったと発表しています。改正児童ポルノ禁止法は、誰のために何を目的としたものなのか、7月15日以降の単純所持の罰則適用を注意深く見守る必要があるかもしれません。 (柳悠太/清談社)