SOPHIA、SIAM SHADE、CASCADE…ヴィジュアル系ブームの拡大と反動から生まれた“ソフト・ヴィジュアル系”の音楽性
■ CASCADE カラフルキャッチーなポップネスが炸裂 CASCADEは1995年11月、音楽オーディション番組『えびす温泉』(テレビ朝日)にて5週連続勝ち抜いてメジャーデビュー。喉にイコライザーが掛かったように突如豹変するTAMAのボーカルとニューウェイヴなサウンド、そしてカラフルキャッチーなビジュアルで人気を博した。 CASCADE「なりきりボニー&クライド」(1996年9月リリース) 『えびす温泉』出演前はノイズ混じりのニューウェイヴバンドという趣で、マニアライクな音楽性を持ったバンドであった。ノリで応募した『えびす温泉』であっという間に勝ち抜き、あれよあれよという間にメジャーデビュー。3日間でレコーディングを終えたというミニアルバム『VIVA!』(1995年11月リリース)は荒削りなサウンドで、パンキッシュさとキャッチーさが錯綜しながらも、バンドの未知なるポテンシャルしか感じられない名怪作。 CASCADE「Kill Me Stop」(1995年リリース) そのポテンシャルは活動していく中で確固たるアイデンティティとして確立されていった。ロックバンドとしての自由気ままで破天荒な姿勢が炸裂しながらも独自のポップ性を生み出したアルバム『beautiful human life』(1996年リリース)、そして、「YELLOW YELLOW FIRE」(1997年6月)、「S.O.S ロマンティック」(1998年4月)といったズバ抜けたポップネスがはじけた楽曲でシーンを賑わせる。 CASCADE 「YELLOW YELLOW FIRE」 いつしかそのストリートファッションを呑み込んだカラフルな出立ちが、ヴィジュアル系として括られるようになったのである。無論、当初彼らは自分たちのことをヴィジュアル系だと思っていなかっただろう。元を辿れば、TAMAはフリーウィル所属のヴィジュアル系バンド、妖花のベーシストだったのだから、いわば脱ヴィジュをしてCASCADEを始めているわけである。ただ、活動していく中で、そうした括りに対しては柔軟な姿勢を見せている。 彼らが敬愛しているであろう、イギリスのポストパンクバンド、パブリック・イメージ・リミテッドの名盤と同じタイトル「FLOWERS OF ROMANCE」(1998年8月リリース)で〈咲き乱れよ 若き乙女たちよ〉とバンギャを扇動しているのだから。 CASCADE「FLOWERS OF ROMANCE」 2002年にCASCADEが解散。その後、TAMAはTAMAMIZU名義でソロ活動を開始。デビューシングル「みにくい反逆児」のプロデュースを担当したのがSOPHIAのボーカル、松岡充である。