息子が「月2万円の奨学金を返せない」と泣きついてきて困っています。親が代わりに返すことは可能でしょうか?
子どもが奨学金の返還に苦しんでいるという悩みを抱えている親の中には、代わりに返還を手助けしたいと考える人もいるでしょう。しかし、親が奨学金を代わりに返還する場合、贈与税の問題は避けて通れません。 本記事では、奨学金の返還を親が肩代わりする際に発生する可能性のある税金や、その回避方法について解説します。 ▼「大学無償化制度」の対象者とは? 年収要件や注意点を解説
奨学金とは
奨学金は、学生が学業に専念できるよう、学費や生活費の負担を軽減するために利用される支援制度です。さまざまな機関が提供しており、主に返還の義務がない給付型と返還が必要な貸与型に分かれます。 ■貸与型と給付型がある 貸与型の奨学金は、借りた分を後から返還しなければなりません。ただし、貸与型にも複数のタイプがあり、特定の条件を満たすと返還が免除されるケースもあります。また、条件次第では、無利息で貸与できるものもあるのが特徴です。 給付型の奨学金は返還義務がないため、将来の経済的負担を心配する必要がありません。経済的支援が必要な学生にとっては、大きな助けとなるでしょう。
親が返還すると贈与税がかかる可能性も
子どもの奨学金返還を親が代わりに行うケースもあるでしょう。しかし、返還方法によっては贈与税が発生する可能性があるため注意が必要です。ここでは、親が代わりに奨学金の返還を行う場合に、贈与税がどのような条件で発生するのかを紹介します。 ■贈与税が発生するパターン 親が支払う奨学金の返還額が年間110万円を超えると、超過分に対して贈与税が生じます。贈与税の税率は課税金額が増えるとともに上昇するのが特徴です。 国税庁によれば、特例税率の場合、課税金額が200万円以下であれば10%、400万円以下なら15%(控除額10万円)、600万円以下の場合は20%(控除額30万円)と上がっていきます。つまり、年間110万円を超えてしまうと、最低でも10%以上の税率がかかるのです。 ■贈与税が発生しないパターン 贈与税を発生させないためには、年間110万円以内で奨学金の返還を支援する必要があります。基礎控除は1年区切りであるため、奨学金の返還を年間110万円以内で分割して支援すると、贈与税を支払わずに済むでしょう。そのため、奨学金返還をサポートする際は、早いうちから計画を立てて毎年110万円以内に収める形で支払いを行うとよいかもしれません。 例えば、奨学金の返還額が300万円だとすると、一括で親が支払ってしまうと、基礎控除額を除いた190万円に対して贈与税が課せられてしまいます。毎年100万円ずつ支援すれば基礎控除額内で収まるため、贈与税は発生しません。