メルクの抗ぜんそく薬、米FDAが脳への影響を確認
Dan Levine Sheila Dang [22日 ロイター] - 米製薬大手メルクが当初販売し、広く処方されている抗ぜんそく薬「シングレア」(一般名:モンテルカスト)について米食品医薬品局(FDA)の研究者が、一部の患者における深刻な精神衛生上の問題に関連している可能性があると指摘したことが分かった。 FDA内部の専門家からなるグループが行った研究の予備的な結果が20日、テキサス州オースティンで開かれた米毒性学会で限られた聴衆に公開され、ロイターが発表内容を確認した。 研究によりモンテカルストが精神機能にとって重要な複数の脳内受容体と結合することが分かった。またモンテルカストがラットの脳に浸透することを示した過去の研究についても現象を再確認した。同薬が神経系にどのように蓄積するかについてはさらに研究が必要だという。 シングレアはメルクが1998年に発売し、売上高が大きい「ブロックバスター(大型薬)」となった。初期の広告は副作用が極めて穏やかと説明し、表示ラベルには脳内への分布は「最小限」と記載されていた。ジェネリック薬(後発薬)はいまでも毎年、何百万人もの成人と子どもに処方されている。 しかし2019年までにインターネット上のフォーラムやFDAの追跡システムに、モンテカルストの処方を受けた患者の間で数十件に上る自殺など神経・精神疾患の報告が寄せられた。 FDAは数年にわたる分析を経て2020年に、モンテルカストの処方ラベルにFDAの警告で最も重い「黒枠」警告の表示を追加。自殺念慮など深刻な精神衛生上のリスクに注意を促していた。