即位行事の「温かい祝福の声」に感謝 天皇陛下60歳会見(全文)
皇后雅子さまの支えに感謝の言葉
記者:ありがとうございます。3問目に移らせていただきます。ご家族についてお尋ねします。皇后様は即位関連の行事にすべて出席し、パレードなどで涙を見せられる場面もありました。陛下は、皇后さまのご活動やご体調をどのように受け止め、今後どういった役割を期待されていますか。 高校卒業を控えた愛子さまの進路や、現在のご様子とともに、まもなく成年皇族となられる愛子さまのご活動や将来について、天皇として、父親としてどのようにお考えになっていますか。 退位による代替わりでは、一部で二重権威への懸念もありましたが、上皇ご夫妻のお過ごしをどのようにご覧になっていますか。 天皇陛下:雅子は種々の工夫を凝らしつつ、一生懸命に努力を積み重ね、幸いにして令和元年は即位に関わるすべての儀式、行事に出席することができました。このことを、私も雅子もとてもうれしく思っております。本人も強い責任感を持って一つひとつの行事に臨んでおりましたが、それに加えて、先ほども述べました通り、即位以来、多くの方々から温かいお祝いをいただいたことが、活動の大きな支えになっていると思われます。雅子自身も、多くの方々から寄せていただいた温かいお気持ちをうれしく、またありがたく思っていると申しておりました。 他方、雅子はまだ回復途上にあり、昨年12月の誕生日の際に医師団が見解として述べている通り、体調には波があり、大きい行事の後や行事が続いた場合には疲れがしばらく残る傾向があります。近くで見ているととてもよく頑張っていると思いますが、決して無理をすることなく、これからもできることを一つひとつ着実に積み重ねていってほしいと思います。 また、即位以来忙しい日々を送る中でも、私や愛子にもいろいろと細かく心を配り、活動を支えてくれており、公私にわたり良き相談相手となってくれています。私も今後とも出来る限り雅子の力になり、支えていきたいと思っております。国民の皆さまには、これまで雅子に温かく心を寄せていただいていることに、あらためて心より感謝の気持ちを述べるとともに、引き続き雅子の回復を温かく見守っていただければありがたく思います。 愛子は、この3月に学習院女子高等科を卒業いたします。学習院女子高等科においては、充実した高校生活を送ることができたようで、それもひとえに先生方や多くのお友達のおかげであると感謝しております。今後の進学先については、今日学校側から、愛子が希望していた学習院大学日本語日本文学科への合格通知をいただきました。進路については、本人から私たちにも相談がありましたが、本人の意向を尊重しながら、出来る範囲での助言をしてきたつもりです。希望の進学先に進めること、愛子はもとより、私も雅子もとても喜んでおります。 高校を卒業し、大学へ進学すると、今まで以上にさまざまな経験を積み重ねながら視野を広げていく時期になると思います。これからも感謝と思いやりの気持ちを大切にしながら、いろいろな方からたくさんのことを学び、自身での思索を深めていってほしいと思っています。それとともに、充実した学生生活を送ってほしいと思っています。その中で、自分のやりたいことを見つけ、成年皇族としての公務とのバランスを見出しながら、将来への希望を描いていってもらえればと思っております。 上皇、上皇后両陛下には、長年にわたり常に国民の幸せを願われ、国民に寄り添い、苦楽をともにされながら、全身全霊で務めを果たしてこられました。上皇、上皇后両陛下のこれまでの歩みに思いをいたす度に、深い感謝と敬意の念を覚えております。そしてご退位にあたり、私たちに対し、種々お心遣いをいただいてきたことをありがたく思っております。同時に、これから高輪へのご移居のご準備や、ご移居に伴う新しい環境への順応などのご負担を案じております。ご退位後、上皇陛下には生物学研究所へのお出まし、上皇后陛下には音楽鑑賞や美術鑑賞などへのお出ましなど、これまで十分に時間がお取りになれなかったご活動にもお時間をお割きになれるようになればと思っています。末永く、お健やかにお過ごしいただけますよう、心よりお祈り申し上げます。