即位行事の「温かい祝福の声」に感謝 天皇陛下60歳会見(全文)
時代の変化に応じた対応も「皇室の役割」
記者:ありがとうございます。それでは2問目に移らせていただきます。平成の時代、上皇さまは全都道府県を2巡し、人々と交流を深めるとともに、被災地への訪問や戦没者の慰霊に取り組まれ、それらは皇室の役割として国民に浸透しました。高齢化や地方での過疎化の進行、AI(人工知能)技術の進展や外国人労働者の増加など、日本社会が大きく変わろうとしている令和の時代に、陛下は具体的にどのような活動によって天皇の役割を果たしていくお考えか、決意をお聞かせください。 陛下は「即位後朝見の儀」で、常に国民を思い、国民に寄り添いながら、憲法にのっとり、日本国および日本国民統合の象徴としての責務を果たすと誓われました。陛下の憲法に対する思いもあわせて教えてください。 天皇陛下:ご指摘のように、近年は特に変化の激しい時代です。例として挙げられたAIが、数年前には今のように話題になっていなかったことや、今では当たり前に使われ、われわれの生活を大きく変えているスマートフォンの普及、その一方で、各地で大きな被害をもたらす気候変動による自然災害の脅威がさらに深刻になっていることなど、平成の初期と比べても人々の生活環境は異なってきていると思います。 このような変化の激しい時代にあって、社会の変化や時代の移り変わりに応じた形で、それに対応した務めを考え、行動していくことは大切なことであり、その時代の皇室の役割でもあると考えております。そのためにも多くの人々と触れ合い、直接話を聞く機会を大切にしていきたいと考えています。同時に、先に述べました通り、常に国民を思い、国民に寄り添い、象徴としてあるべき姿を模索しながら務めを果たし、今後の活動の方向性についても考えていきたいと思っております。 憲法についての質問ですが、日本国憲法は、日本国及び日本国民統合の象徴として天皇について定めています。憲法を遵守し、象徴としての務めを誠実に果たしてまいりたいと考えております。