デジタル広告 の未来を探る:「原点回帰し、ユーザーファーストで広告への信頼を取り戻す」Index Exchange 日本担当マネージングディレクター 香川晴代 氏
デジタル広告の未来を探る、DIGIDAY[日本版]インタビューシリーズ。今回は、SSPのグローバルカンパニーであるIndex Exchangeの日本担当マネージング・ディレクターを務める香川晴代氏に、昨今のデジタル広告にはびこる課題を聞いた。 香川氏は、デジタル広告の黎明期である2000年からキャリアをスタートし、DAC国際事業部を経て初期の検索連動型広告事業を経験。その後、アマゾン・ジャパン、フェイスブック・ジャパンなどを渡り歩いたのち、2019年よりIndex Exchange 日本担当マネージングディレクターに就任し、日本のデジタル広告市場を支えている。 「低品質なコンテンツの配信や不正広告が続けばパブリッシャーはユーザーに信頼されなくなり、広告主は無駄なお金を使い続けることになる」と香川氏は訴え、根本的な原因として日本企業の商習慣などを挙げる。同氏に、SSP視点でのデジタル広告市場の問題点を語ってもらった。 ◆ ◆ ◆
──現在の日本市場におけるデジタル広告について、香川さんが考える主要な問題点を教えてください。
日本市場の場合は、広告主が直接的な費用対効果を持つ手法を選択する傾向が強く、デジタル広告の予算の大半がパフォーマンス広告に使われる印象だ。つまり、クリックコストが低ければ低いほど、あるいはコンバージョンコストが低いほど評価が高く、「どの媒体に掲載されるのか」ということをあまり重視していない。これがまず、問題点と言えるだろう。 一方で、ウォールドガーデンへの広告出稿に依存していることも問題だ。米国では、ブランディングにも予算を割くことが主流で、メディアミックスモデルに従って予算配分されており、日本ほどウォールドガーデンに依存していないうえ、透明性が曖昧なウォールドガーデンへの投資は控えていきたいというスタンスがある。サプライパスを透明にしていくことや、その説明責任を果たすことを重視しているからだ。 サプライチェーンの透明化は世界的にも明確な指標になっている。日本でもJAAが2019年に「デジタル広告の課題に対するアドバタイザー宣言」を発表した。だが、この宣言は果たして今、浸透しているだろうか? これらの問題をさらに突き詰めていくと、プロフェッショナルなCMOが米国などと比べて少ないという現状もある。日本企業は大手になればなるほど、ジョブローテーションが活発だ。デジタルマーケティングの領域は、戦略性と専門性が必須。「数年立ったら次の部署、KPIは前任者の踏襲で!」では、なかなか専門性も育たない。日本企業はどこもこうした問題を抱えていると言えば語弊になるが、外資系企業と比べるとこうした傾向があるのは間違いないだろう。