御朱印は城にあり!平戸城内にたたずむ神社 その歴史と文化を守る人々の思い【平戸市・亀岡神社】
長崎県佐世保市出身の漫画家でイラストレーターの大原由軌子さんが長崎の街を巡りながら目的地である神社で「御朱印」を集める企画をシリーズで紹介する。今回は平戸市の亀岡神社を目指す。(2021年9月取材) 【画像】あなたは積めるか!?城の石垣積みに挑戦!
城内に潜む神社、その存在に驚き
平戸市の平戸城に訪れると、まず、その美しい石垣と青空に映える白い天守閣に目を奪われる。日本100名城の1つで、現在の天守閣は1962年に復元し、大規模改修を終えて、2021年4月にリニューアルした。 城内には「平戸城の石垣を積んでみよう」というコーナーがあり、石垣好きという大原さんもさっそく挑戦! 石垣の模型に大きさや形の違う石をはめこんでいくのだが、好きが高じて…とはならず石垣積みはあえなく失敗。「石垣は眺めるだけにしとこう」と諦めモードだった。 天守閣からの眺めは最高だ。その絶景に大原さんは「景色がすばらしい、きょうは天気もいいし。でも当時はのんびり景色を見てはなかっただろうな。目まぐるしく変わる時代にあって、城主はその先にある世界を見ていたのかもしれない」と当時に思いを馳せた。
神社は城にあり!かつては二の丸御殿
天守閣からの眺めを満喫した後は、いざ神社へ。 平戸城の敷地内のほぼ中央にあるのが「亀岡神社」だ。かつて二の丸御殿があった場所に明治13年に建てられた。 取材時の亀岡神社・下条斉昭禰宜(ねぎ)によると、松浦家の祖霊社・霊椿山神社の老朽化に伴い、松浦家の城主の指示で近隣にあった七郎神社、乙宮神社、八幡神社とともに合祀(ごうし)したという。合祀とは神様をそれぞれ集めて一緒にお祀りをするもので、ここが「亀岡山」となったため、その山名からとって「亀岡神社」となった。
平戸を治めた松浦家の思い込められる
亀岡神社は、平戸を治めた松浦家の歴史と深く結びついた、特別な存在だ。社殿には松浦氏の家紋「三星」が刻まれていることからもその結びつきがうかがえる。平戸を治めていた松浦家が代々、神様と祖先を大切に思う気持ちのもと、神社を造ったのではと考えられている。 神社の中に一歩足を踏み入れると、歴史の重みがひしひしと感じられる。しかし同時に、風通しの良さも印象的だ。海に近い場所にあるにもかかわらず、140年近くもの間、木造の社殿が保たれているのは驚きだ。 下条斉昭禰宜は「氏子の皆さま方のご協力のおかげで、こういった海に近い地で、こういった木のお社がですね、140年近く経っている、今も素晴らしいことだと思います」と語る。地域の人々の協力と努力が、この貴重な文化財を守り続けているのだ。