[知らないとヤバい]釣り竿に圧倒的進化をもたらした「第3世代カーボン」のヒミツ
炭素繊維トレカ®T1100G とは? 従来品より軽くて強い
前述のとおりT1100Gは、従来の炭素繊維と比べて強さ(強度)と硬さ(弾性率)が大きく向上している。この特徴を実証した実験動画が東レのトレカ®T1100G&トレカ®M40X紹介ページで公開されている。 T700S、T800S、T1100G炭素繊維にエポキシ樹脂をしみこませたシート(プリプレグ)を使用して「同じ硬さの平板」を作製。硬い炭素繊維は柔らかい炭素繊維より少ない量で同じ硬さの板を作ることができるので、板の厚さや重さはT700S>T800S>T1100Gの順に小さくなる。
T700SとT110Gの3点曲げ強度比較実験 T1100Gは薄いのに強度が高い
T700SとT110Gの3点曲げ強度比較実験で両者に負荷をかけていくと、T700Sは01:48:03で破断。T1100Gは01:59:09と10秒以上長く耐えた。T1100Gは肉薄+軽量なのに強度が高いことがわかる。
T700S、T800S、T1100Gのたわみ戻り速度比較実験 T1100Gは軽量だからたわみ戻りが速い!
たわみ戻りの速度は、たわんだ状態の位置から水平の位置に戻る速度を計測。3つの高強度タイプの素材で使った平板が止まったタイムはご覧のとおり。硬さが同じ平板でも、重量はT1100Gが最も軽く、たわみ戻りも速いということだ。 強くて、たわみ戻りが速いという特性は、釣りザオに置き換えるとキャストでロッドの反発力を利用しやすく遠投性能がアップ。振り抜いた後のブレの収束が早く、キャスト精度の向上、ライントラブルの軽減にもつながる。
炭素繊維トレカ®M40Xとは? 従来品より強度約20%アップ
一般的に炭素繊維は硬くなるほど、強度が下がり脆くなる傾向がある。M40XもT1100Gと同様、強さと硬さは極限での両立を目指し開発した炭素繊維で、従来品M40Sの硬さを維持しながら、強さは約20%(表2)向上している。その性能を検証する実験が、M40SとM40Xの3点曲げ強度比較実験だ。M40SとM40Xで同じ硬さの平板を作製。M40XはM40Sと同じ硬さなので、厚さと重量も同じとなる。
M40SとM40Xの3点曲げ強度比較実験 M40Xが圧倒的な強度をみせる
同じ厚み、同重量の平板に負荷をかけていくとM40Sは01:06:13で破断。M40Xは粘りをみせ01:23:00まで持ちこたえている。これは従来の炭素繊維の定説を覆すほどの結果で、この高弾性率タイプの炭素繊維を使った新たな製品の開発が各分野で進んでいるということだ。 M40Xの採用で曲げても折れにくい釣りザオが期待できる。強度と高弾性率を高次元で両立する第3世代炭素繊維は、細いロッドにシャクリで高負荷をかけるエギングにも最適なマテリアルだ。