いよいよ「夏の土用」です。この時期に食べると「いいこと」があるものって何?【田野岡メソッド・二十四節気のかんたん養生】
夏土用のころに、身体にはどんなことが起きている?
さて、7月19日からの夏土用は夏が終わり、秋への変化の時期。夏の身体のままだと、秋になったときに不調が起きます。いまここでシフトチェンジしましょうという頃合いです。 暑い夏は“炎熱”の性質の“心(しん)”の機能が活発に働きたくなる季節でした。心は、中医学で脳をあらわす“神(しん)”とも関りが強いので、心が疲れてしまうと神にも影響が生じます。神への影響は…眠れないという形で身体がご本人様(=自分)にメッセージを送ってきます。また、土用は“変化”の季節とお伝えしております。“変化”を好む性質は“脾(ひ)”の機能。食べた物を消化する働きを担っています。「次の季節のために頑張って消化して栄養を摂り込むよ!」と意気込んでいるのですが、脾の機能はベタッとした湿度を嫌います。暑くて水分ばかり摂っていると、脾の湿度は…かなり高いのではないでしょうか。それと、脾の機能を含めて五臓は熱エネルギーで動いています。かき氷・冷水・キンキンに冷えたビール…脾がなかなか働きにくい条件がそろいがちですね。 「季節の変化に合わせて身体を整える約18日間」と定義されている土用期間、この「脾の機能」をいたわることに気遣ってみませんか。
夏土用、いま食べるべき「旬のもの」って?
夏から秋への変化の期間、夏土用。夏の影響を受けているだろう“心・神”と“脾”の機能への意識を高めてみましょう。 まずは「何かと忙しかった“心”の機能」。神を安心させる効果を安神(あんじん)と言いますが、神(=脳)を落ち着かせて、体力回復の眠りをしっかりとれるようにしましょう。 食材でオススメなのは、玄米、ナツメ、いわし、牡蠣、ホタテ、卵、ジャスミンを挙げたいと思います。 次に、「変化の季節に働きたくなる性質の“脾”の機能」。暑い外気温や冷たい飲み物の影響で、脾・胃の消化機能が活動しにくくなっていると思われるので、消化機能を健全にして食欲不振を解消しましょう。 食材でおススメなのは、じゃがいも、豆腐、とうもろこし、ナツメ、バジル、ゆず、貝柱、ホタテ、ジャスミン、ねぎ、豆板醤を挙げます。 今週おすすめしたいのは、とうもろこしとネギの豆板醤炒めです。とうもろこしの甘みと、ねぎの甘み、そしてちょっとの豆板醤が甘みを引き立て、コクと滋味の深い豚肉でパワーを得ます。ご飯が進みます。 とうもろこしとねぎは上記の通り、脾と胃の働きを健全にするとっても相性のよい組み合わせ。夏バテでおなかがもたれて食欲があまり出ない時など、豆板醤のちょっとした辛味ととうもろこしとねぎの甘みは嬉しく感じます。もたれていたはずのおなかなのに…食が進む。不思議ですよね。 とうもろこしは缶詰でも良いですが、今の時期はもぎたて皮つきが旬の食材としてお買い得商品になっていると思います。皮付きのまま蒸すorレンチンをした後、5cm幅でカットして、それぞれを2つ割りor 4つ割りしてください。芯をつけたまま炒めると、芯からの出汁も活かすことができるので美味しさが増します。食べる時は芯を残して前歯で削ぎながら食べてくださいね。 豚肉のかわりに牡蠣、卵、ホタテを入れても良いです。ねぎには種類がいくつかあるようですが…お近くのスーパーで手に入りやすいもので大丈夫です。ねぎには身体表面での発散作用もあります。残暑のベタッとした空気が肌にまとわりつくのが気になる時にはおススメの食材です。 さて、土用というと、土用の丑の日の「うなぎ」が頭に浮かびますが、うなぎは身体に摂り込むとパワーの源になりますが、身体に摂り込むにも少しパワーが必要な食材です。脾の機能が少しバテ気味だと上手く消化できないことも懸念されますので、脾の働きを整えてから「うなぎ」にチャレンジいただけると良いかと思います。
季節が少しずつ移っています
そういえば、ご覧ください、前回ご紹介した青いナツメに、こんなにきれいに色がつきました。 再春館ヒルトップへの通勤途中の畑に、サトイモの葉を見かけるようになりました。 サトイモは身体の中で「消化機能を助ける」「固まったモノを解きほぐす」という働きの性質があります。夏の暑さの影響を受けてしまった消化機能に働きかけて、身体のどこかで詰まってしまった固まりを解きほぐす。そんなサトイモが、葉っぱを大きく広げて秋の収穫の準備をせっせと行っている…毎年畑で見かける度に「そろそろ秋が近づいているのだな…」と感じたりします。
再春館製薬所 田野岡亮太