谷川俊太郎さん作詞の校歌を感謝込めて合唱 千葉・八千代の中学生900人が冥福祈る
13日に92歳で死去した日本を代表する詩人、谷川俊太郎さんをしのぼうと、千葉県八千代市の市立高津中学校の全校生徒約900人が28日、同市市民会館で谷川さん作詞の校歌を合唱した。作詞に対する感謝の思いも込めながら、美しい歌声を響かせ、冥福を祈った。 同校の校歌は昭和54年に制定。同校によると、当時の校長の妻と谷川さんが親しく、作詞を依頼したところ、快く引き受けてくれたという。谷川さんは当時の生徒の意見に耳を傾け、「ほかの学校にはない校歌を」と作詞した。 「♪風よ吹け吹いてこい サバンナの草をなびかせ」「♪ともに明日を夢見よう いまここに足を踏みしめ」 自然を感じる言葉が多く使われ、学校名が入っていない珍しい校歌だ。谷川さんが県内の公立小中学校の校歌を作詞したのは、高津中だけだという。 2年の小林隼人さんは「谷川さんは言葉の持つ力で日本の文化を支えてくれた」、3年の鷹尾侑奈さんは「分かりやすい言葉に深い意味が込められている。大きな夢や希望を感じ、頑張ろうと思える校歌」とそれぞれスピーチした。 谷川さんは東金市の城西国際大の学歌も手掛けた。「♪風香る 橋を渡って 限りない 未知へと向かう」「♪キャンパスは 地球そのもの 学び合う 人のるつぼだ」といった歌詞だ。 同校ホームページでは、谷川さんが「学問の世界と実世界、日本文化と異文化、女と男、全部と細部…それらのうちにひそむ調和への可能性とともに、矛盾をもおそれずにみつめてほしい」との思いを込めて言葉を選んだことが紹介されている。 谷川さんは東京都出身。「二十億光年の孤独」や「生きる」などで知られる戦後日本を代表する詩人。作詞や翻訳など幅広い分野で活躍した。(松崎翼)