生命の起源をたどるヒントになるか? 衛星ガニメデの歴史
木星の周囲を公転する衛星ガニメデ。内部に水の海が存在する可能性があり、地球外生命体の発見に夢が膨らむ衛星です。 【全画像をみる】生命の起源をたどるヒントになるか? 衛星ガニメデの歴史 神戸大学大学院理学研究科の平田直之助教は、40億年前のガニメデに巨大な小惑星が衝突し、その結果ガニメデの自転軸が変化していたことを発見しました。 小惑星の衝突によって形成されたガニメデの大きな溝から、小惑星の大きさを計算し、その半径が150kmであったことを突き止めました。これは6,600万年前に地球に衝突し、恐竜の時代を終わらせた小惑星の約20倍の大きさです。
地球の歴史を紐解くヒントに
衝突により半径700kmもの一時的なクレーターが形成され、大きな重力異常が生まれ、ガニメデの自転軸が変わってしまいました。ガニメデは、その後1,000年もの間振動していたと考えられています。 平田氏は述べています。 「この巨大な衝突は、ガニメデの初期進化に大きな影響を与えたはずですが、ガニメデ内部に与えた熱的、構造的影響については、まだまったく調査されていません。さらなる研究が行なわれるべきだと考えています」 欧州宇宙機関ESAが主導するJUICE探査機が昨年打ち上げられ、現在ガニメデに向かっており、2031年に到着する予定です。JUICE探査機は2034年にガニメデを6カ月間観測します。 小惑星の衝突は、太陽系初期には地球も含め、さまざまな場所で起きていたとされています。こうした研究は地球の歴史を解明する上でも大きな意味を持つでしょう。衝突が天体にどのような影響をもたらすのか、まだ未知な部分が多く、表層、構造、熱の進化の観点で、重要な情報になると考えられます。 また、内部に水を有する兆候を見せるガニメデ。水は地球上の生命の必要条件のため、今後ガニメデをめぐり、多くのことが明らかになっていくことが期待されます。7年後のJUICE探査機からの報告を、楽しみに待ちましょう。
小野寺しんいち