【クイーンS回顧】ゴールドシップ産駒コガネノソラが少し遅い決着を制す 高速時計にも対応できる点で秋GⅠが楽しみ
充実期にあるコンクシェル
2着ボンドガールは同じ3歳でも対照的な競馬になった。最内枠から古馬に揉まれ勝負所でも進路がなく、思うように順位をあげられない形に。4コーナーを回った時点では馬群の最後方に近く、この時点で厳しいと思わざるを得ない状況にあった。ここから馬群を縫って最後はコガネノソラとアタマ差まで持ち込んだ。まくれず脚を溜められた、先行勢に厳しい流れになったことで展開が向いたといった見方もあるが、これも実力がなければ追いあげられない。4コーナーでの位置取りから、一切ブレーキをかけることなく抜け出した武豊騎手の集中力も見応えがあった。 3着アルジーヌはこれで通算【4-2-1-2】。掲示板をはずしていない。中内田充正厩舎らしい的確なレース選択で、ほぼ最短ルートで重賞までやってきた。出世はスローでも着実に力をつけていく。先行馬に辛い流れを踏ん張っており、早くも重賞通用のメドは立てた。母キャトルフィーユは10年前にこのレースを1:45.7のレコード勝ち。5歳夏のことだった。娘もまだまだ楽しみがある。 写真判定の末、5着だったコンクシェルはマークされる立場であっても堂々たる逃げで見せ場を作った。序盤からウインピクシスにプレッシャーをかけられ、勝負所ではスタニングローズにかわされかけた。続々とやってくるライバルを跳ねのける持続力から、今後も決して評価を落とせない。自身より後ろの馬がマークされるようなメンバー構成やレースになったとき、チャンスが巡ってくるだろう。 ライタープロフィール 勝木 淳 競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。
勝木淳