【クイーンS回顧】ゴールドシップ産駒コガネノソラが少し遅い決着を制す 高速時計にも対応できる点で秋GⅠが楽しみ
札幌巧者だったゴールドシップ
勝ったコガネノソラの父ゴールドシップは現役時代、札幌【1-2-0-0】。2戦目コスモス賞は中団から動き、4コーナー3番手から抜け出し、札幌2歳Sではスタートでアオリ、後方から直線勝負。上がり最速35.6で2着に押し上げた。キャリアを積み、凱旋門賞の壮行レースに選んだ札幌記念ではハープスターとマッチレースを演じ、3/4馬身差2着。すべて違う騎手が騎乗し、多彩な戦法で結果を残した。間違いなくコース巧者といっていい。 【アイビスSD2024 推奨馬】単回率111%&複勝率55%超え!3つの好データを持つ! SPAIA編集部の推奨馬を紹介(SPAIA) 適度に時計がかかる洋芝、コーナーが緩く追い上げやすいコース形態が、ちょっと不器用だけど破壊力は文句なしのゴールドシップにハマった。 産駒全体の成績は7/21までで福島40勝、勝率12.0%や小倉27勝、勝率9.7%には及ばないながら、札幌は14勝で勝率8.0%と悪くない。福島、小倉は小回りながらスパイラルカーブを採用しており、ゴールドシップ産駒にとってコーナーは走りやすいのだろう。 重賞9勝は東京4、中山1、阪神3に対し、札幌は1(障害の3勝含む)。この勝利は札幌重賞2勝目。今後はもっと増えるだろう。唯一の平地GⅠ馬ユーバーレーベンはハイペースの札幌2歳Sをまくって、ソダシのタイム差なし2着。ドバイ以来だった札幌記念は11着に終わったが、札幌は得意としていた。
中身の濃い後半の攻防を制したコガネノソラ
前日のSTV賞(札幌芝2000m)ではゴールドシップ産駒フェアエールングが馬群を縫う器用な立ち回りで札幌3勝目をあげた。勝ち時計は2:00.6。少し遅い決着に強いあたりゴールドシップ産駒らしい。コガネノソラはフェアエールングと比べると速い時計に対応できる力もある。この日は当日朝の雨の影響から稍重で若干時計を要する馬場だったが、春にはスイートピーSを1:45.6で勝利しており、好走できる時計の範囲は広い。なにせまだ3歳で伸びしろも大きい。 古馬との戦いに身を投じた今回は、しぶとい逃げ馬コンクシェルがウインピクシス、スタニングローズにマークされプレッシャーをかけられるなか耐えるという、持久力戦になった。牝馬とはいえ、さすがに古馬はレースの中身も濃い。前半1000m通過こそ1:00.3と平均ぐらいだったが、3コーナーからゴールまで11.8-11.6-11.8-11.9と最後までラップが落ちない厳しさがあった。洋芝の札幌を踏まえると、後半800mすべて11秒台は濃い。 コガネノソラは斤量51キロを味方に外目を攻めて好位勢をねじ伏せた。過去10年クイーンSで通用した3歳馬は春のGⅠ好走馬ばかり。このデータを覆したコガネノソラの可能性は評価すべきだろう。時計への対応力もあるので秋のGⅠでも楽しめる。ステイゴールド、ゴールドシップから受け継いだ成長力を味方にさらに強くなっていくだろう。