前田健太の肘はカープの爆弾か
右肘の故障が心配されていた広島のエース、前田健太投手が16日、広島のマツダスタジアムで約50メートルの間隔で15分から20分程度のキャッチボールを行い、「大丈夫だと思う。登録抹消せずにいきたい」と、復帰へ向けて前向きにコメントを残した。前田は12日の中日戦で右肘に張りを訴えて5回に緊急降板。それでも1安打無失で2勝目を手にしていたが、最悪の場合、登録抹消になるのではないかと心配されていた。 3日間、完全に休養を取って、この日、初めてボールを握ったが、前田自身は、「自分として投げた感じは悪くなかった」と、回復に好感触をつかんだ様子だ。山内投手コーチは、「明日もう一度、さらに強めに投げさせて様子を見ます。最終決断は、それを待って決めたい。ただ、本人と話をした感じでは、心配するほとではないと思っている」と、明日17日の練習で、もう一度、強めのキャッチボールをして再チェック。最終判断を下す予定だという。 当初の次回先発予定は、19日の横浜DeNA戦だったが、一度、先発予定を飛ばすか、1日ずらすような処置が取られると考えられている。現在、阪神とセ・リーグの首位を争っている広島にとって、前田健の長期離脱という事態だけは、どうしても回避したい。前田健は、昨年も4月に右上腕三頭筋の筋膜炎を起こして、登録を抹消されている。このときは、WBC参加の影響だったが、今回の右肘の張りにつながった原因は何なのか。そこを解明しておかねば、肘は、今後もいつ爆発するかわからない爆弾となって、ペナントレースに暗雲が漂う。 “マエケン体操”に象徴されるように前田健は、非常に肩や肘のケアに気を使っている。だが、関係者の話を総合すると、今回、肘に異常を訴えたことに2つ理由が考えられる。1つは、昨年は、200イニングに届かなかったが、2010年から3年連続で200イニング以上を投げるなど、目に見えぬ疲労が蓄積していること。もう1つは、公式戦に入ってからは、ほとんど使っていないが、キャンプ、オープン戦と通じて、チャレンジしてきた新球スプリットの影響が、知らぬうちに肘に来ていたのではないかという説。指で挟むボールは、必要以上に肘に負担がかかるためメジャーの選手は、好まない傾向にある。 いずれにしろ、大本命の巨人が開幕で足踏みをしている状況だけに、広島は、しっかりと先を見据えながらマエケンという切り札を大事に起用していきたいのが本音だろう。 (文責・駒沢悟/フリーライター)