「女性専用サロンで男性器の脱毛を拒否→賠償金3万5000ドル」性自認を優先するアメリカやカナダでトラブル続出「日本人が知らない驚くべき実態」
11月1日、ドイツで「ジェンダー・セルフID制度」が施行された。これにより、法律上の性別は廃止され、性自認に基づいて性別を決められるようになった。 【マンガ】母の再婚相手を殺したかった…性的虐待を受けた10年間の記録 本来必要だった医師の診断書や性別適合手術は不要で、親が0歳から子どもの性別を変更できるようになり、14歳以上であれば、自分で性別を決められるという。 この「ジェンダー・セルフID制度」は、2012年にアルゼンチンが始めたのを皮切りに、デンマークやポルトガル、ブラジル、コロンビア、アイルランド、カナダ、フィンランド、スペインなどで導入されている。 その一方、性自認を優先することで、女性を自認する男性が女子トイレや女子更衣室などの女性専用スペースに入り、女性の身の安全を脅かしている実態が、日本を含む世界各国で問題視され始めている。
身体的性別よりも「性自認」を優先
ジェンダー・セルフID制度が導入されている国は、なぜ増えているのか。それは「性自認が出生時の身体的性別よりも優先される」という思想に基づいている。 性自認とは「自分自身の性別をどのように認識しているか」を指す自己意識の概念であり、「心の性」とも呼ばれるものだ。 そして、「出生時の身体的性別と性自認が一致していない人」をトランスジェンダーという。 たとえば、トランスジェンダー女性とは「身体は男性だが、女性を自認している人」のことを指す。 トランスジェンダーの中で、身体違和(性自認と異なる肉体であることに対する違和感)が強く、性別適合手術をした人や手術を希望する人のことをGID(Gender Identity Disorder:性同一性障害)と、これまで日本では呼んできた※。 2006年には、インドネシアのジョグジャカルタ市で行われた国際会議で採択された「ジョグジャカルタ原則」(正式名称:性的指向と性同一性に関わる国際人権法の適用に関する原則)では、LGBTを含むすべての人権を保障し、一切の差別や弾圧を厳しく禁ずるため、すべての国家が遵守すべき国際法規の基準が提案された。 この原則によって、性自認が身体的性別よりも優先されるという考え方の基礎になったとされている。(下図は、ILGA(国連関連団体でもある世界最大のLGBT活動家団体)の資料などをもとに斉藤氏が作成) ※現在、GIDという用語は「病気や障害ではなく医療を必要とする状態」と考えるようになったため、世界的に使われなくなった。その代わりに、トランスジェンダーを精神医学的に取り扱う場合は「性別違和」(Gender Dysphoria)、世界保健機関(WHO)による国際的な疾病分類(International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems:ICD)では、「性別不合」(Gender Incongruence)の名称が使用されている(日本でも「性別不合」という名称に置き換わりつつある)。なお、続く後編記事では、状況に応じて「性同一性障害」の呼称も用いる。