「女性専用サロンで男性器の脱毛を拒否→賠償金3万5000ドル」性自認を優先するアメリカやカナダでトラブル続出「日本人が知らない驚くべき実態」
「競技中は女性であるように感じる」
女性専用スペースに加えて、議論を呼んでいるのが女子スポーツだ。 直近の事例では11月25日、米西部カリフォルニア州のサンノゼ州立大女子バレーボールチームに在籍中のトランスジェンダー選手をめぐる問題がある。 FOXニュースなどによると、そのトランスジェンダーの選手は1年生のとき、南部サウスカロライナ州の大学でプレーしていたが、出生時の性別に基づいて競技することを義務付ける州法が制定されたため、カリフォルニアに移ったという。 現在3年生で身長は185cm。一般的な女子選手よりも「スパイクが速い」との指摘が多く、選手の安全を考えて対戦チームが棄権するケースも相次いでいた。 所属チームが11月30日に行われた試合で敗退したことにより、この騒動は一段落したものの、同様の事例は世界各国で起きている。 2023年にジェンダー・セルフID制度を導入したスペインでは、「競技中は女性であるように感じる」と主張する、身体的に男性で普段の生活も男性として過ごし妻子もいる人物が、自転車レースの女子部門で1位を獲得するという事態も起きている。 このような女子スポーツをめぐる混乱について、千田氏はこう語る。 「トップアスリートともなれば、男性と女性との間にはぬぐいがたい身体的差異があるので、性自認を優先すれば不公平感が生じるのは当然のことです。身体の接触があるスポーツの場合なら、身の安全にも関わってきます。 『トランス差別者』とのレッテルを貼られることを恐れすぎるあまり、十分に議論がなされないまま、女性の権利をないがしろにしているのが現状。これまで通り、身体的性別を基準にしてルールを設計すべきです」 現状の日本において、身体的性別よりも性自認を優先することで生じている問題は、海外に比べて少ないが、これから起きる可能性は否定できない。 後編記事『手術と診断書なしで「性別変更できる」国が増加中…日本人なら知っておきたい「トランスジェンダー問題」の現在地』では、日本でのジェンダー・セルフID制度の実現可能性や、事実上手術なしで性別変更が可能になった最高裁判決などについて詳述する。
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