「女性専用サロンで男性器の脱毛を拒否→賠償金3万5000ドル」性自認を優先するアメリカやカナダでトラブル続出「日本人が知らない驚くべき実態」
客観的判断が不可能
しかし、性自認を優先させるという思想を受け入れることに問題はないのだろうか。武蔵大学社会学部(ジェンダー論)教授の千田有紀氏が解説する。 「性自認を尊重するとは、わかりやすく言えば『その人自身が女性だと思えば女性』ということになります。個人の意識としては、性自認は自由であり、誰も否定はできませんが、客観的判断が不可能な概念です。 1990年代にアメリカの哲学者ジュディス・バトラーが性別二元論を否定し、性自認は構築されているのだという理論を提唱しました。その理論の受容の結果として、身体の性別がないがしろにされるようになった。アカデミックの理論が現実社会を劇的に変えた稀有な例といえます。 そして、その性自認を絶対視しすぎるあまり、ここ数年SNSで特に話題となっているのが、トランスジェンダー女性(出生時の身体的性別は男性でありながら、性自認が女性)をめぐる権利の問題です」
「トランス女性」によるトラブルの実態
トランスジェンダー女性による女子トイレ、女性更衣室や女湯などのいわゆる「女性専用スペース」の使用をめぐり、日本でも時折事件化しているケースはある。すでに身体的性別よりも性自認を優先させている海外では、日本以上にさまざまなトラブルが起きている国もある。 著書に『LGBT問題を考える』があり、海外のLGBT事情に精通する医師の斉藤佳苗氏が解説する。 「女性専用スペースに関しては、トイレや更衣室以外でもあらゆる場所で想定外の問題が起き始めています。 たとえば、性自認による差別が禁止されているカナダでは今年、女性専用サロンでトランス女性の男性器の脱毛を拒否したことを理由に、その施設に対して、裁判所が賠償金3万5000ドルを支払うよう命じています。しかも、担当した従業員は、男性との肉体的接触を控える敬虔なイスラム教徒の女性でした。 カナダと同様に性差別禁止法があるアメリカのワシントン州では2023年6月、女性専用韓国風スパという日本の女湯と同じシステムを採用している施設が、利用者を生物学的女性と性別適合手術を受けたトランスジェンダー女性に限定したことを、差別だと認定されています」