「幼稚園みたい」な日本の高齢者デイサービスは誰のため? 個人の希望に沿った過ごし方ができるスウェーデン
個人の意思を尊重するスウェーデンのデイサービス
スウェーデンでは、退職した高齢者の多くは、サークルや教会や市町村の会に行き、そこでお茶会、勉強会、体操教室、手芸教室、賛美歌を歌う会、旅行などに参加します。比較的健康状態が良く、余暇活動に積極的な高齢者が行きます。 一方、認知症や精神疾患などでケアが必要な高齢者には、症状が同じような人が集まるデイサービスがあります。本人と社会のつながりを作る意味が大きく、日本のような見守り的要素は少ないです。ケアマネジャーによる通所の承認は厳格なため、日本と比べると利用する高齢者は少ないです。 本人の同意が必要なため、望まない人は行きません。たとえ同居の家族が希望しても、本人が同意しないならば、本人の意向が尊重されます。その場合、本人が家に一人でいることが難しければ、訪問介護士やお出かけ援助員が家に行き、本人と一緒に外出したり、家でお茶を飲んだりします。 その他、退院後の高齢者のために、デイリハビリが病院にあります。
認知症ケアの手本「シルビアホーム」のデイサービス
1990年代は、認知症ケアはまだ十分研究されておらず、職員教育は十分ではありませんでした。そのため、スウェーデンのシルビア王妃は、自身の母親が認知症であったこともあり、認知症の人のためにデイサービスホーム(シルビアホーム)を作りました(写真2)。 シルビアホームは認知症ケアの手本になっており、そこで実習したシルビアシスターと呼ばれる認知症専門のケアワーカー(准看護師に近い)は、全国の多くの認知症デイサービスに勤めています。 私も認知症専門の看護師になるために、シルビアホームでデイサービスの実習をしました。 ここは、午前9時から10時の間に、6人から8人の利用者が、それぞれ送迎支援タクシーを利用して、自宅から来ます。年齢により曜日を若年性の認知症、高齢者の認知症に分けています。私が実習した時は、8人の利用者全員が自力で歩き、自力で食べていました。 早く来た人はキッチンに入って、ケアワーカーと天気の話などをしながら10時のお茶(スウェーデンの習慣)のために、カップを出したり、サンドイッチの材料をお皿に並べたりします。