コインチェック事件に揺れる仮想通貨は、社会からの信頼を取り戻せるか
仮想通貨ビジネスに、欠如しているものはなにか
これから仮想通貨ビジネスに対する世の中の信頼を取り戻し、市場を健全に発展させるためには、業界に関わる企業が発生する問題や課題に対して速やかに対応し、安全性の担保やユーザーの資産管理を確実に行っていく必要があるのではないでしょうか。最後に、チャールズさんに仮想通貨が信頼を取り戻すために取引所が何を目指すべきかをまとめていただきました。 「業界にはいくつか欠如しているものがある。ひとつは、取引所に預けられた資産を保証する制度。仮想通貨が盗まれたときにそれを保証できるか否かで信頼は大きく異なってくる。これが導入できるかどうかで仮想通貨取引を巡る環境に大きな影響を与えるだろう。もうひとつは、資産を管理する安全基準を一定の水準で統一すること。サービスに使われるソフトウェアやシステム設計のモデルについても安全基準の監査を行い認定されたものだけにするべきだろう。監査機関による定期的なハッキングテストやシステムの検証は不可欠であり、金融庁がハッカーチームを組織して監査の役割を担うべきではないか。例えば、全ての取引所が一定のお金を出し合ってプールしておき、金融庁が全取引所を攻撃する。もしハッキングが成功してプールしたお金を盗まれたら、システムの改善ができるまでプール金を取り上げるような仕組みだ。全取引所が連帯責任で安全性を担保するような取り組みも考える必要があるのではないか」(チャールズさん)。 過去の歴史を振り返ると、銀行のオンラインバンキングやクレジットカードも、様々な不正が問題になる中で課題を洗い出し、業界内で厳しい安全基準を定めて厳しくチェックしてきたことで、世の中からの信頼を得てきました。仮想通貨も改めて業界内で世の中の信頼を得るために何が必要かを見つめ直し、必要なルールの策定や業界内での連携強化を早急に進める必要があるといえるでしょう。 (取材・執筆:井口裕右/オフィス ライトフォーワン)